求人票の見方|ブラック企業を避けるために見るべき項目と知るべき制度
お疲れ様です。企業の求人作成のアドバイスをしているベンゾー(@zangyoujigoku)です。
この記事では求人票の中から「ブラック企業を避けるために見るべき項目と知るべき制度」を解説します。
読んでいただくことで求人票からブラック企業を的確に見抜く力を付けられます。
初めて転職をするときって、求人票のどこを見れば良いのかわからないですよね。
求人票って項目が多い上に、知らない用語が多いんですよね
そんな項目数や知らない用語の多い求人票ですが、ブラック企業に入らないようにするためには、必ずチェックしておきたい項目や知っておきたい制度があります。
僕は労働問題の専門家として、企業の求人票作成にアドバイスをする仕事もしています。
求人票作成のアドバイスの仕事をしていると、求人・採用・教育といった「人事」に力を入れられない企業が、テキトーに済ましたがる項目があることに気付きました。
また、本来は労働者側が知っておかなければいけない制度なんかもあります。
知らない場合、合法的に時間や給料を搾取されても文句を言えません。
こういう知識が無い状況って、転職活動をする上ではマズイですよね。ブラック企業に入ってしまうなんて「うっかり」じゃ済まない話です。
この記事で解説すること
- 求人票の中で注意するべき項目の解説
- 知っておくべき制度の解説
会社を辞めたくなってから転職活動をすると・・・
- 早く転職したくて会社を選ぶ余裕が無かった
- 焦って変な会社の内定で妥協する
- ブラック企業に入った新入社員
- 転職で失敗したくない人
ブラック企業を避けるために見るべき項目
ここでは求人票の中でも以下の項目について解説をしていきます。
※文字をクリックで目的の解説へ飛べます
雇用形態|特別な理由が無い限り「正社員以外」を選ぶ必要は無い
「雇用形態」にはどういった契約で働くことになるのかを書いています。「正社員」とか「正社員以外」という表記が多いですね。
ちゃんとした理由で「正社員以外」を求めている会社もありますが、訳の分からない理由で契約社員を募集している会社もあります。
見極めるのは難しいですし、変なリスクを抱える必要も無いので、最初から「正社員」で募集している会社だけ選んだ方が良いですね。
一応用語の解説をすると「正社員以外」というのは契約社員や嘱託社員のことを言います。
「契約社員」や「嘱託社員」というのは、働く期間をいつからいつまでと決めている社員のことです。
期間を定めている理由はいくつかあります。その時期だけ忙しい業種であったり、本採用までの見極め期間であったり。
雇用期間|雇用期間の定めなしを選べばOK
雇用形態とほぼ同じ注意事項になります。
雇用期間というのは働く期間のことです。「雇用期間の定めなし」となっているものだけ選ぶようにしておけば問題ありません。
逆に「雇用期間の定めあり」という求人は、「〇月〇日まで働く」というように働く期間が決められています。
と言っても、実際のところ期間が来たところで契約期間が更新されるだけということが多いです。
就業時間と休憩時間|変形労働に注意
「就業時間と休憩時間」では1日で働く時間を記載しています。
例えば朝8時半に出勤し、17時半まで働き、12時から13時までは昼休みと言う場合「8:30~17:30」。休憩時間は60分と書かれています。
ここの時間に残業時間は含まれていないので、17時半までと書かれていても残業で21時まで働くようなこともありえます。
次の項目である「時間外」と関連が強いのでそちらでまとめて書きます。
時間外|変形労働に注意
これ超重要。時間外というのは1ヶ月の残業時間のことです。
一般的によく言われているのは「そもそもあんまり当てにならない」ということ。
「時間外20時間」と書いてあってももっと残業することもあります。
現実と求人票の内容にあんまりにも差があると問題ですが、多少差があっても問題にならないからなんです。
人それぞれ価値観の違いはありますが、僕が転職をするなら「変形労働」を使っている会社には入社しようと思いません。
変形労働が何かついては「残業時間の少ない求人票の罠を徹底解説【変形労働】」で詳しく解説をしています。
この記事でわかること
- 「変形労働」という制度がある
- 合法的にサービス残業をさせられてしまう
- 有給休暇を使うと、残業時間を減らされる
賃金(月給・年収)|固定残業代と歩合給に注意
給料のことです。これ大事なのでよく読んでください。
どういうことかって言うと、ある程度の残業を見越して最初から手当を付けておくという制度を利用している求人があるからです。
「固定残業代」という制度で、「みなし残業」とも呼ばれたりします。
固定残業代については「【固定残業代・みなし残業】計算例と仕組みを徹底解説」で詳しく解説をしています。
この記事でわかること
- 固定残業=みなし残業
- 本来は残業抑制や事務作業効率化が目的
- 本来の金額よりも給料が高く見える
- 違法なことをしている企業も多い
もう1つ注意したいのが「歩合給」あるいは「インセンティブ」です。(意味は同じです)
歩合給が多いことをアピールしまくる求人がありますが、代わりにボーナスが少なくなっていることがあります。
ボーナス自体が歩合給みたいなものなのに、あえて歩合給という手当を作るのは「月給をより高く表記できる」というメリットがあるから。
ダメじゃないんですが、こういう小細工をする企業は他の部分でも小細工を仕掛けていることがあるので、要注意です。
※もちろんボーナスも多くて、歩合給もたくさん出るという素晴らしい企業もあります
それから民間の転職サイトの中には月給ではなく、年収でしか表記していないところもあります。
無難な転職活動をしたいなら、年収しか記載のない求人は避けるべきです。
年収の表記は雑な書かれ方が多く、月給では書くことが必要とされていることを省略している場合が多いです。
昇給|回数が多い場合は要注意
「昇給が無し」という会社はもっての外として、昇給が4回も5回もあるという会社も要注意です。
昇給があるということは、その金額を決めるために人事評価があるということ。昇給が4回あるということは人事評価も4回あるということです。
年に4回もできるってことは、営業成績のように数字が出てくるわかりやすいポイントだけを見て評価している可能性が高いです。
人事評価の難しいところは数字で出てこない部分の評価です。
これを年に4回、従業員の不満が出ないほどしっかりと行うのは、ちょっと現実的ではないかなと。
休日、週休二日、年間休日数|基本的には完全週休二日制を選ぶべき
休日関係なのでまとめて書きますね。
まず知っておいて欲しいのが「週休二日制」と「完全週休二日制」の違いです。
「週休二日制」と「完全週休二日制」
- 週休二日制・・・週に2回お休みがある週が、1ヶ月の中に1回以上ある
- 完全週休二日制・・・毎週必ず2回お休みがある
ちょっとわかりにくいですが、「週休二日制」の会社はほぼ毎週月~土曜まで働いている可能性があります。
月に1回土日休みの週があればOKですからね。
その上で注意して欲しいのが、「基本的には完全週休二日制を選ぶべき」ということです。
業種によっては「週休二日制」が当たり前になっているところもあります。
ただ、普通は完全週休二日制である業種なのに週休二日制になっている場合は要注意です。ブラック企業と見てほぼ間違いないでしょう。
このような求人では年間休日数が120日未満になっていることが多いです。わざわざ休日の少ない求人を選ぶ必要はありませんよね。
しかも休日については実は残業代にも大きな影響があります。
その辺りも書くと長くなるので興味のある方は「年間休日〇〇日ってどれくらい?土日祝の休め具合を解説」をご覧ください。
この記事でわかること
- 「年間休日〇〇日」っていうのが多いのか少ないのか
- 業界としては普通なのか
- 「年間休日」と実は大きな関係のある「残業代」のこと
育児休業取得実績|「実績なし」はかなりヤバい
一応説明すると育児休業というのは出産後に子育て目的でしばらくお休みすることを言います。
勘違いしている方もいますが女性だけの権利ではありません。男性も育児休業は取得できます。僕も取得しました。
そういうわけで、建設業界のように男性が多い企業では「実績なし」となっていることがありますが、まあ問題ありません。
普通に考えて女性もいるであろう業界なのに「実績なし」となっている場合は問題がありますね。
もし、いまだに妊娠した女性を退職に追いやっているような企業であれば大問題です。
そもそも妊娠を理由に退職させることはアウトですし、それをアウトと知らない経営者であれば情弱過ぎてアウトです。
知ってて退職させている経営者ならリスク管理ができてないのでアウトです。
仕事の内容|丁寧に書かれていないところはヤバい
ここは大事です。仕事の内容を丁寧に書いていない会社はブラック企業の可能性が高いです。
「仕事の内容」は就職後にどんな仕事をするのかイメージできるくらい明確な内容が書かれているべきです。
これを単に「営業」とか「事務作業」というように雑な書き方をしている場合、「採用」という仕事に力を入れていない可能性が高いです。
知っておくべき制度
変形労働|残業が少なく見えてしまうので要注意
変形労働についてはじっくり解説をすると長くなりすぎます。
結論だけを言うと以下の通りです。
変形労働とは?
- 思っていた以上に働かされる
- しかも残業代が少ない
個人的には変形労働を使っている会社に転職をしようとは思いません。
詳しくは「残業時間の少ない求人票の罠を徹底解説【変形労働】」をご覧ください。
固定残業|給料が高く見えるので要注意
固定残業は悪用をしている企業が多い反面、適切な運用をしている場合は従業員にメリットのある制度です。
ただし、求人票を見る場合に限っては給料が高く見えるので注意が必要です。
いずれにせよ、制度の内容自体は知っておいた方が良いです。「【固定残業代・みなし残業】計算例と仕組みを徹底解説」で詳しく解説をしているので、合わせてご覧ください。
この記事でわかること
- 固定残業代やみなし残業の制度について
- 制度の問題点、注意すべきこと
- 「本当は給料が安い」具体的な計算例
- 違法な事例
全部イイ感じの求人はレアケース|自分の価値観に合う会社を選ぶべき
ブラック企業を避けるための注意事項をいくつか書きましたが、全部をクリアした上で、給料・仕事内容・勤務地も理想的という求人はかなりレアケースです。
転職活動に期限が無い場合には、理想的な求人が出るのを待つこともできます。
でも数か月以内に決める必要がある場合は、自分の価値観に合う会社を選ぶことをオススメします。
ただ、個人的には現職を辞める必要の無いころから転職活動を始め、理想的な企業から声がかかるのを待ち、内定が出たら退職をするという流れがオススメです。
具体的には「スカウト」という仕組みを使った転職活動です。
僕の実体験になりますが、「スカウト」で年収で80万円上がる交渉もできました。
具体的な方法やメリット・デメリットについては「働きながらでも全然辛くなかった転職方法|スカウトで強気の交渉」で解説しています。
こんな人にオススメ!
- 今の職場に大きな不満はない
- でももっと良い職場があるなら転職しても良い
- あんまり転職活動に時間を使いたくない
- 最悪、今の職場のままでも良い
まとめ|ブラック企業を避けるために見るべき項目と知るべき制度
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求人票の見方を確認したら、次は転職先候補の口コミを確認しましょう。
口コミはあくまでも退職したイチ従業員の所感です。あんまり信用しすぎない方が良いです。
口コミを書いた人と同じ所属になるわけでもないですし、同じ上司に当たるわけでもありません。
所属や上司が違えば、雰囲気はガラッと変わりますからね。
というわけで僕が口コミサイトを使う上で重要しするのは、「早く口コミが見られること」です。
- 「この口コミサイトは信頼性が・・・」
- 「口コミの件数が国内最多で・・・」
- 「便利な転職サービスが付いてて・・・」
といった情報は一切不要と考えています。
そんな考えのもとで、早く口コミを見れるサイトをまとめた結果を「【5社を登録退会して確認】会社の評判だけサクッと見られる口コミサイト」で紹介しています。
会社を辞めたくなってから転職活動をすると・・・
- 早く転職したくて会社を選ぶ余裕が無かった
- 焦って変な会社の内定で妥協する
- ブラック企業に入った新入社員
- 転職で失敗したくない人