残業時間が少ない求人票の種明かし|労務のプロがざっくり解説

2019年7月18日

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この記事を書いた人

ベンゾー

SEとして残業100時間超の中働き、20代後半で退職。その後、社会保険労務士事務所へ転職し「労務のプロ」と名乗る / 友人知人をうつ病へ追いやったブラック企業が嫌い / 労務のプロ目線でブラック企業からの脱出方法を発信中 / 退職代行利用経験1回 / 会社を労基に訴え経験2回/ 転職経験3回 / 息子のおしりを触るのが好き「プロフィールはこちら

残業時間が少ない求人票の種明かし|労務のプロがざっくり解説

お疲れ様です。SEから労務のプロ(社会保険労務事務所職員)へ転職したベンゾー(@zangyoujigoku)です。

今回は「変形労働」という制度についてざっくり解説をしていきます。

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現役SEの北田さん

SEって過酷な仕事だったから、今度働く会社では「残業の少なくてまったりとした仕事」をしていたいんだよね
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ベンゾー

わかる。SE時代は全力疾走って感じだったから、ちょっと休みを入れたいね
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現役SEの北田さん

だよね。それで転職活動してるんだけど、ここの会社って残業時間少ないみたいだし、まったり働けそうだと思わない?応募してみようかな
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ベンゾー

どれどれ。あ~これは残業時間を少なく見えるようにしてるだけだね。実際は結構働くはずだよ
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現役SEの北田さん

なにそれ?サービス残業してるってこと?
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ベンゾー

いやいや。そんな違法な方法じゃなくて、合法な方法で残業時間を少なく見せてるんだよ。
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現役SEの北田さん

なにそれ。知らないとヤバいじゃん。教えてよ
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ベンゾー

ちょっと難しい内容になるけど、がんばって理解してね

今までSEとして過酷な労働環境にいた方の中には、「次の会社ではゆったりまったりとした仕事をしたい」と考えている方もいるんじゃないでしょうか?

実際、SEを辞めた僕は「残業や休日出勤の少ない仕事をしたい」「家族の時間をたくさん持ちたい」という思いで転職活動をしていました。

そう思って残業時間の少ない会社を探していても、思った通りにならないことがあるんです。それが「変形労働」という制度。

 

実はこの制度、結構働いているにも関わらず合法的に残業時間を少なくすることができるんです。

サービス残業のように違法じゃないので、文句を言っても「知らなかったあなたが悪い」で片付いちゃうんですね。

この制度を知らずに転職してしまうと、以下のようなことが起きます。

  • 思っていた以上に働かされる
  • しかも残業代が少ない

従業員側からしたらデメリットだらけですね。

そんな「変形労働制度」を労務のプロがざっくり解説していきます。この記事を読めば、「ゆっくりまったりとした仕事」を選ぶことができるようになります。

 

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変形労働制とは?

変形労働制をざっくり言うと「普通の時間とは違う働かせ方ができる」という制度です。

どんな風に普通の時間と違うのか。まずは「普通の働かせ方」について解説をします。

 

普通の働かせ方とは?

労働基準法の原則通りでいくと、以下のような決まりがあります。

  • 1日8時間より長く働かせないようにすること
  • 1週間で40時間より長く働かせないようにすること

1日8時間で月曜から金曜まで働いたらちょうど40時間ですね。つまり土曜日に出勤をしたりすると、40時間を超えるので残業になります。

これが普通の働かせ方です。

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ベンゾー

たまに8時間じゃなくて7時間半の会社もあるけど、だいたい同じと思っていいよ

 

変形労働制ではどうなる?

変形労働制を使うと、「普通の働かさせ方」で書いた条件が少し緩くなって、以下のようになります。

  • 1ヶ月の労働時間から1週間の平均を出したときに、40時間を超えないようにすること
  • 1年間の労働時間から1週間の平均を出したときに、40時間を超えないようにすること

つまり、第1週は44時間働いていても、第2週では36時間しか働いていないなら、平均して40時間を超えていないため残業は0時間となるわけです。

これなら週によっては、土曜日に働かせることができますよね。

例えば第1土曜日は出勤日にして、その代わり第2月曜日をお休みにする。といった感じです。

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現役SEの北田さん

土曜日に出勤する代わりに別の日を休めば、平均は40時間のままってことだね

 

これだけみると、単に働く曜日が入れ替わっただけに感じますよね。

では次にこの制度による従業員側のデメリットを解説します。

 

変形労働制による従業員側のデメリット

変形労働制を使うことで、「1週間で40時間まで」という条件を緩くすることができるという説明をしました。

ここからは従業員側のデメリットを解説します。

 

年間休日数を減らされる

ざっくりと言うと「ほぼ毎月、1回は土曜日を残業ではない出勤日にされてしまう」ということです。

さらに言うと「年間休日数を減らされる」ということです。

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ベンゾー

平均して40時間を越えなければ、残業にならないっていうところまではわかったね。
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現役SEの北田さん

大丈夫!でも土曜日に出勤した分、他の曜日に休めるんならあんまり気にしなくていいんじゃないの?
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ベンゾー

そうだね。じゃあ普通の会社に行ってる人って、土日しか休んでないと思う?
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現役SEの北田さん

いや、祝日も休んでるよ
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ベンゾー

そうだよね。日本は特に祝日が多くて、年間20日くらいあるんだ。その内いくつかは土曜日と重なっちゃうけど、それでも10日以上は祝日でお休みになってるんだよ。
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現役SEの北田さん

だいたい毎月、祝日か盆暮れ正月の休みがあるもんね
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ベンゾー

だからなんでもない日を土曜日の代わりに休みにしなくたって、祝日を休みにしていれば平均して40時間はクリアできちゃうんだよね。
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現役SEの北田さん

つまり土曜日出勤の代わりに休める日っていうのが、普通の会社でも休んでる祝日にあてられちゃうってこと?
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ベンゾー

そういうこと。だから、普通の会社よりもお休みが少なくなっちゃうんだよね。

通常、土曜日に出勤をした場合、1週間の労働時間が40時間を超えてしまいます。上で解説した話によると、超えた分だけ他の日に休まなければなりませんよね。

しかし日本はほぼ毎月祝日があるため、実は最初っから休んでることが多いんですよね。

だからほぼ無条件で土曜日を1回出勤日にすることができちゃうんです。もちろん残業ではないので、残業代も出ません。

つまり変形労働制は会社側に以下のようなメリットがあるんです。

  • 年間休日数を少なくすることができる
  • 求人票上では残業時間を少なくできる
  • もちろん合法

SEを辞めてまったりと働こうと思ったら、土曜日に出勤させられる上に残業代も出ないとすると、踏んだり蹴ったりですよね。

 

有給休暇を使った分だけ、残業時間が減ってしまう

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ベンゾー

有給休暇の制度は知ってるよね?
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現役SEの北田さん

平日でもお休みできるってやつだよね。それくらいならわかるよ。
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ベンゾー

じゃあ有給休暇を使ったら給料って減る?
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現役SEの北田さん

減らないよ?普通減らないんじゃないの?
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ベンゾー

そうだね。有給休暇を使ったことで給料を減らしたり、待遇を悪くすることは禁止されてるからね。
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ベンゾー

じゃあ残業代は減るかどうかわかる?
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現役SEの北田さん

減らないんじゃないの?
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ベンゾー

それが変形労働制を使っている会社の場合は減っちゃうんだ
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現役SEの北田さん

うわ~せっかく遅くまで働いても、有給休暇を使っちゃうと意味無いんだ

有給休暇というのは、従業員からするとノーリスクでお休みを取れる制度ですよね。

例えばプライベートで旅行に行きたいから2、3日有給休暇を取ったとします。それでも給料は減らないですよね。

それが有給休暇です。ここまではご存知の方も多いはず。

 

しかし「有給休暇+残業+変形労働」という組み合わせがあると、少し話が変わってきちゃうんです。

なんと「有給休暇を使った分だけ、残業時間が減ってしまう」ということが起きます。

つまり・・・

  • 今月は残業を10時間した
  • でも有給休暇を1回使った

という働き方をした場合、有給休暇の8時間分を残業から減らされてしまい、残業時間が2時間となってしまうんです。

もちろん残業代も2時間分しか出ません。

 

なぜこんなことが起きるのかと言うと、残業時間は「実労働時間」を使って集計することとされているからです。

「実労働時間」というのは、有給休暇を使って「働いたことにした」時間ではなく、「実際に働いた時間」のことです。

「実際に働いた時間」だけで集計をするため、有給休暇の8時間分が削られてしまうんですね。

 

まったりと働きたいから有給休暇をたくさん使ったら、残業代が減って給料が少なくなる。なんてことが起きてしまうわけなんです。

 

例で解説

「年間休日数が減らされる」「有給休暇を使った分だけ、残業時間が減ってしまう」という2つのデメリットを紹介しました。

最後にこの2つを交えた、具体例を出してみます。

A社とB社があり、A社だけ変形労働制を使っていたとします。

そんな会社で、以下のような勤務をした方がいたとします。

  • 第1月曜〜金曜まで普通に8時間勤務
  • 第1土曜も8時間勤務
  • 第2月曜は祝日でお休み
  • 第2火曜に有給休暇を使用
  • 第2水曜に4時間残業
  • 第2木曜は3時間残業
  • 第2金曜も3時間残業
  • 第2土曜は元々お休み
  • 第3月曜以降、月から金まで8時間勤務

 

この場合、変形労働制を使っていないB社の場合は、残業時間が以下のようになります。

  • 第1土曜の8時間
  • 第2水曜の4時間
  • 第2木曜の3時間
  • 第2金曜の3時間
  • 合計18時間

 

一方、変形労働制を使っているA社の場合は、以下のようになります。

  • 第1土曜が出勤日であれば残業ではない
  • 第2水曜から金曜で10時間残業
  • 有給休暇を使っているのでマイナス8時間
  • 合計2時間

ちょっと差がすごいですね。

なぜこのような差ができるのかと言うと・・・

  • 1日で8時間を超えているかではなく、平均して一定の時間を超えていないかで残業を見る
  • 有給休暇を労働時間として見ない

という2点があるからです。

変形労働制を使っている会社と使っていない会社では、これだけの差が出てしまうんですね。

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現役SEの北田さん

正直、理解が追い付いていない。でも普通の会社だと18時間の残業時間が、変形労働制だと2時間になっちゃうってことはわかったよ!
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ベンゾー

まあこれに関しては、難しいと思うからその理解だけで十分だよ

 

まとめ|残業時間が少ない求人票の種明かし

なるべくわかりやすく書くつもりでしたが、ちょっと難しい内容になってしまいました。

全部を理解ができない方も多いと思います。

そんな方でも「これだけは覚えておいて欲しい」というのが、「変形労働制を使っている会社では、思っているより残業時間が少なくなる」ということです。

もっと単純に言うと「変形労働制=ブラック企業」と判断しても良いかもしれませんね。個人的には変形労働制が1番ブラック企業御用達の制度だと思っています。

ただ、これ以外にもブラック企業と判断できるポイントはいくつかあります。「求人票の項目を全部解説|ブラック企業を見分ける方法」で紹介していますので、合わせてご覧ください。

 

ここまで従業員側の目線で話していましたが、最後に会社側の目線からフォローを入れておきます。

変形労働制を使う会社の特徴を1点だけ紹介します。

この制度を使っている会社は、実は元々貰える給料が高い業界という傾向があります。

例えば建設業界や医療業界がよく使っています。この業界は新卒の社会人でも少し給与が高めです。

 

ただ、「貰える給料が高くても働く時間が長い」と言うのは、結局あなたの単価が安いという結論になります。20万円もらうのに170時間で済む人と、200時間かかる人だと、後者の方が単価は安いですよね。

転職をするときに給料を上げたいと思うなら、まずは自分の単価がどのくらいなのかを確認しておくと良いです。

自分の単価の確認方法については、「給料が高くても単価は安い?あなたの1時間の価値を労務のプロが解説」で解説しています。是非合わせてご覧ください。

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ベンゾー

SEとして残業100時間超の中働き、20代後半で退職。その後、社会保険労務士事務所へ転職し「労務のプロ」と名乗る / 友人知人をうつ病へ追いやったブラック企業が嫌い / 労務のプロ目線でブラック企業からの脱出方法を発信中 / 退職代行利用経験1回 / 会社を労基に訴え経験2回/ 転職経験3回 / 息子のおしりを触るのが好き「プロフィールはこちら

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Posted by benzo