有給休暇をわかりやすさ重視で解説|使わないなんてもったいない

2019年7月28日

この記事を書いた人

ベンゾー@元SEの社会保険労務士事務所職員

友人・知人がブラック企業でうつ病になったことを後悔 / 労働問題の専門家としてブラック企業からの脱出方法を発信中 /1番オススメの退職代行を調べるために、実際に職場を退職して確認 /月に10回以上、LINE@やTwitterで仕事の無料相談を受けています/ ブログのコンセプトは「ブラック企業で悩む人を法的に守る」「プロフィールはこちら

それをすてるなんてとんでもない! (1)

お疲れ様です。SEから労務のプロ(社会保険労務事務所職員)へ転職したベンゾー(@zangyoujigoku)です。

今回は「有給休暇」について解説します。

会社を休むときに使う有給休暇。あなたはちゃんと使えていますか?

  • 有給休暇は誰でも使えるの?
  • いつ貰えるの?
  • 使わないとどうなるの?
  • 有給休暇を使うと給料は減らないの?

専門家でもない限り、自信をもって答えることはできないんじゃないでしょうか?でも有給休暇は労働者であるあなたが持っている大事な権利です。

せっかくの権利を使わずに放置しているのはもったいないですよ。

この記事を見て、有給休暇の基本的なルールを把握しておきましょう。そして有給休暇を利用して旅行や家族サービス、趣味なんかで有意義な時間を使えるようなりましょう!

 

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有給休暇はパートやアルバイトにもあります

有給休暇は正社員だけのものではありません。雇用契約をしている人にはもれなく有給休暇があります。
雇用契約をしている人というのは・・・

  • 会社員
  • 従業員
  • スタッフ
  • サラリーマン
  • OL
  • アルバイト
  • パート
  • 契約社員
  • 正社員

などと呼ばれる方たちです。逆に有給休暇を持っていない人というのは・・・

  • 社長
  • 個人事業主
  • 自営業者

という方たちです。

もし、有給休暇があるはずなのに会社からは無いと言われた場合、嘘をつかれている可能性が高いです。だからといって直接会社に問いただすのは難しいと思いますので、お近くの労働基準監督署に相談をすると良いです。

ちなみに僕は労働基準監督署で未払い賃金の請求を2回したことがあります。そのときの体験談は「会社を訴えるリスクは無い。退職時にお金を回収する方法」でまとめてあります。

 

有給休暇を使う理由|私用のためでOK

有給休暇の申請書にどんな理由を書くべきか。基本的に「私用のため」でOKです。なぜなら有給休暇を使うのに理由はいらないからです。

じゃあなんで申請書に理由を書く欄があるのか?なんででしょうね?ぶっちゃけよくわからないです。

ただ、実務的には有給休暇の理由に「親の葬儀のため」とかって書いてあった場合、「それは慶弔休暇では?」と確認をすることがあります。

まあ普通に旅行だったり趣味で休んだりする場合は「私用のため」で十分です。

ちなみに実際に見たことはないんですが、理由によっては有給休暇を使わせてくれない会社があるようです。もしあなたが務めているのがこんな会社だった場合、早めに辞めた方が良いです。明らかにブラック企業です。

 

有給休暇を使うと給料は減る?|厳密には減ることもあるけど、基本的に減らない

原則通りにいくと有給休暇を使っても給料が減ることはありません。これはおそらく誰しもがわかっていることじゃないでしょうか。

ただ、実は給料が減るパターンもありますので、そこはしっかりおさえておきましょう。

有給休暇で給料が減るパターン。それは「午前有給休暇で午後出勤をし、残業をしたケース」です。

 

給料が減るという表現は適切じゃないかもしれませんが、残業時間としてカウントされる時間が減ることになります。

例えば午前4時間、午後4時間働く会社だったとします。この状態で午前中に有給休暇を使うと定時までに実際に働いた時間が4時間となります。

そして定時の後も3時間ほど働いたとして、合計7時間の労働時間となりますね。残業は実際に8時間を超えて働いた分をカウントしますので、この場合残業扱いにはならないんですね。

 

ただ、実際にここまで細かく給与計算を行っている会社は少ないです。だいたいの会社はこのケースの場合でも3時間を残業としてカウントしますので、安心して有給休暇を使ってください。

 

有給休暇の計算方法

いつから付与される?|入社半年後から

有給休暇はいつから付与されるのでしょうか?法律で決まっているんですが、会社によっては法律通りではないケースもあります。
※付与されるというのは「有給休暇を使えるようになる」という意味です。

法律通りでいくと入社の半年後に最初の有給休暇が付与されます。

例えば2020年4月1日に入社した人なら、2020年10月1日に有給休暇が付与されます。

その後毎年1回ずつ新しい有給休暇が付与されます。

2020年4月1日に入社した人なら、

  • 2020年10月1日に最初の付与
  • 2021年10月1日に2回目の付与
  • 2022年10月1日に3回目の付与

と言う感じです。

これが法律で定められている一般的な付与のされ方です。

 

一部企業によっては就業規則で別の付与方法を定めているケースがあります。

よくあるのが毎年4月1日に従業員全員が一斉に付与されるというパターンですね。要するに付与されるタイミングを入社日に関わらず全員同じ日にし、管理を楽にするという狙いがあります。

詳しく書くとややこしくなるのでやめておきますが、従業員全員が一斉に付与されるというパターンは法律通りでいくよりも従業員が有利になるようになっています。

この記事の中ではややこしさを避けるために、法律通り(入社日の半年後に付与)の説明をしていきます。

付与される日数は?|勤務日数による

付与される日数はちょっとややこしいのでまずは基本的なことから書いていきます。

一般的な正社員であれば以下の表のようになります。

※入社日がR2.4.1の場合

1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目 7回目 8回目以降
付与日 R2.10.1 R3.10.1 R4.10.1 R5.10.1 R6.10.1 R7.10.1 R8.10.1 以降1年ごとに
20日付与
付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

 

例外としてパートやアルバイトのように出勤数が正社員ほど多くないケースでは付与される日数が変わってきます。

具体的には以下の表のようになります。

※入社日がR2.4.1の場合

1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目 7回目 8回目以降
1週間の
所定労働日数
付与日 R2.10.1 R3.10.1 R4.10.1 R5.10.1 R6.10.1 R7.10.1 R8.10.1 以降1年ごとに
7回目と同じ日数分が
付与される
4日 付与日数 7 8 9 10 12 13 15
3日 付与日数 5 6 6 8 9 10 11
2日 付与日数 3 4 4 5 6 6 7
1日 付与日数 1 2 2 2 3 3 3

 

ここで注意したいのが「所定労働日数」の考え方です。

「1週間の所定労働日数」=「1週間で働く日とされている日数」であって、「実際に働いた日」とは違ってきます。

例えば週3で働くアルバイトの人が、たまたま4日働いたことがあっても、所定労働日数は3日となるんです。

自分がどこに当てはまる働き方をしているかに注意して、有給休暇の日数を確認してみてください。

 

有給休暇の繰越と消滅とは?|2年分使える

有給休暇を使わなかった残りは翌年に繰り越されます。

例えば最初に10日付与された有給休暇を7日しか使わなかった場合3日余りますよね。この3日は翌年も使うことができます。

つまり、有給休暇は最初の半年で10日付与され、翌年に11日付与されるわけですが、7日しか使っていなかった場合は新たに付与された11日+繰り越し分の3日で合計14日使える計算になります。

とまあ文章で説明すると複雑ですが、図にすると以下のようになります。

有給休暇の繰越

<クリックで拡大>

ただし、この繰越は延々と続くのではなく翌年までしか繰り越せません。翌々年には消滅してしまいます。

これまた文章では複雑ですが、図にすると以下のようになります。

有給休暇の時効消滅

<クリックで拡大>

 

有給休暇の買取とは?|企業側に義務はない

有給休暇には一応買取制度があります。通常時は使えないんですが、以下の2パターンでは買取が認められています。

  1. 消滅してしまう分の有給休暇の買取
  2. 退職時に余った有給休暇の買取

要するに使えなかった分の有給休暇に限っては買取が認められているということですね。

ただしこの制度は企業側にとって義務ではありません。したがって従業員から有給休暇を買い取って欲しいと言われても断ることができます。

もし断られたら諦めるしかないですね。

 

時間単位の有給休暇とは?|就業規則による

有給休暇を使うときは、原則として1日単位か半日単位しか認められていません。ですが、急用なんかで1時間だけ早く退勤したい場合や、2時間だけ遅く出勤したい場合もありますよね。

そんなときは原則では半日の有給休暇を使うしかありません。

ただ、就業規則の内容によっては、1時間や2時間の有給休暇を使うことができます。定めているかどうかは会社によりけりなので、あなたの会社がどうなっているのかは事前に確認をしておく必要がありますね。

 

まとめ|有給休暇をわかりやすさ重視で解説

  • 有給休暇はパートやアルバイトにもある?
    あります。その他雇用契約と呼ばれる人は全員あります
  • 有給休暇はどんな理由なら使える?
    理由はいらない。理由によって使えないようにしている会社はブラック企業
  • 有給休暇を使うと給料はどうなる?
    原則減らない。ただし使い方によっては残業時間が減る
  • いつから付与される?
    原則は入社から半年後
  • 付与される日数は?
    正社員かパートやアルバイトで変わる
  • 有給休暇の繰越と消滅とは?
    使わなかった有給休暇は翌年に繰り越され、翌々年には消滅する
  • 有給休暇の買取とは?
    使えなかった有給休暇に限って買取できる。ただし企業側に義務はない
  • 時間単位の有給休暇とは?
    原則は使えないけど、就業規則で定めていれば使用可能

有給休暇は2019年4月1日より年間で5日の使用義務という法改正がなされました。ざっくり説明すると、会社は従業員にたくさん有給休暇を使ってもらわないと、国に罰金を払わなければならなくなります。

その他にも誰がいつどのくらい有給休暇を使ったのか管理する義務なんかも増えました。

こういった法改正によって、今まで有給休暇を使わせてもらえなかった従業員も積極的に使っていこうという雰囲気に変わりつつあります。

実際、僕に相談をしてくる経営者の中にも有給休暇を従業員に積極的に使わせたいと言う人が増えてきています。

 

世間がここまで有給休暇を使わせる流れになっているにも関わらず、いまだに「うちの会社には有給休暇がありません」なんて言っている社長がいたら確実にブラック企業です。今すぐ退職すべきです。

そんなブラック企業を辞めるときには、残っている有給休暇を全部使って辞めるべきです。退職時にまとめて有給休暇を消化する具体的な方法は「退職時に有給休暇を使い切る|実際に半月休んだ方法を解説」で解説しています。ブラック企業に務めている方は是非ご覧ください。

この記事を書いた人

ベンゾー@元SEの社会保険労務士事務所職員

友人・知人がブラック企業でうつ病になったことを後悔 / 労働問題の専門家としてブラック企業からの脱出方法を発信中 /1番オススメの退職代行を調べるために、実際に職場を退職して確認 /月に10回以上、LINE@やTwitterで仕事の無料相談を受けています/ ブログのコンセプトは「ブラック企業で悩む人を法的に守る」「プロフィールはこちら

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