給料が高くても単価は安い?あなたの1時間の価値を労務のプロが解説
お疲れ様です。労働問題の専門家をしているベンゾー(@zangyoujigoku)です。
この記事では「1時間の価値の計算方法」を解説します。
転職活動をしているあなたは、こんな疑問を持っていませんか?
- 自分の給料って安いのかな?高いのかな?
- 求人の給料を見ると高そうだけど、本当なのかな?
この疑問に正確にお答えするには、「あなた自身の1時間の価値」を計算しなければなりません。
「1時間の価値って言っても、自分は時給じゃなくて月給で働いてるんだけど・・・」という方がほとんどですよね。
でも月給で働いていても、時給に換算することができるんです。
1時間の価値の計算方法がわかれば、あなた自身の現在の1時間の価値と、求人に書かれている1時間の価値を比較することができます。
うっかりと1時間の価値が下がる転職をすることのないように、気を付けましょう!
給料が高くても単価が高いわけじゃない?
「給料が高い=単価が高い」とは限りません。
なぜならその給料を稼ぐために必要な労働時間がバラバラだからです。
ではどうやって単価を算出すれば良いのでしょうか?単価を算出するためには以下の2つを調べる必要があります。
- 残業代以外の給与
- 1ヶ月の所定労働時間
「所定労働時間」という用語は聞きなれないですよね。ざっくりと意味を解説していきます。
所定労働時間とは?ざっくり解説
※解説のために若干法的におかしな例を使いますがご了承ください
「所定労働時間」とはなんでしょうか?なかなか聞きなれない用語ですね。
この言葉を「1か月の」+「所定」+「労働時間」というように分けて解説します。
まず「所定」です。
「所定」というのは「所定の場所に置く」とか「所定の時刻に着く」で使う単語ですね。
別の言い方をすると「あらかじめ決められた」というのがしっくりきますかね。
次に「労働時間」です。
これは解説するまでもないかもしれませんね。
労働。つまり「仕事をする時間」のことです。
では「所定労働時間」を「所定」+「労働時間」というように考えると・・・
「あらかじめ決められている、仕事をする時間」となりますね。
何によって「あらかじめ決められた」と思いますか?
会社ですね。会社によってあらかじめ決められているわけです。
つまり、「所定労働時間」というのは「会社によってあらかじめ決められている、仕事をする時間」ということです。
会社が「わが社は毎日8時間働くことにしよう!」と言えば、
「所定労働時間=8時間」です。
「わが社は毎日7時間働くことにしよう!」と言えば、
「所定労働時間=7時間」です。
そして「1ヶ月の所定労働時間」とは「所定労働時間」×「1ヶ月に出勤する日数」となります。
「1ヶ月に出勤する日数」はお休みの日がどのくらいあるかで決まってきますね。
毎週土日がお休みであれば、22日くらいです。
第2第4土曜日だけは出勤であれば、24日くらいです。
さて、あなたの1ヶ月の所定労働時間は何時間ですか?
- 会社の定時は何時から何時か
- 休憩時間はどのくらいか
- 毎月のお休みの日はどのくらいあるか
がわかれば計算できますね。
仮にあなたの会社が・・・
- 定時が8時半~17時半
- 休憩時間はお昼の1時間
- 土日がお休み
だとします。
この場合、所定労働時間は「8時間」ですね。
毎月22日働く場合、1ヶ月の所定労働時間は「176時間」となりますね。
1時間の価値=残業代以外の給与÷1ヶ月の所定労働時間
さて、所定労働時間という言葉の意味がわかりましたね。
では、いよいよあなたの1時間の価値を計算します。
1時間の価値を計算する式は以下の通りです。
「1時間の価値=残業代以外の給与÷1ヶ月の所定労働時間」
簡単な割り算ですね。
実際に例を使って計算をしていきましょう。
給料30万円。所定労働時間が8時間で土日お休みの場合
- 所定労働時間が8時間
- 土日がお休み
- 残業代以外の給与が30万円
で計算をします。
この場合1ヶ月の所定労働時間は176時間ぐらいですね。
「1時間の価値=残業代以外の給与÷1ヶ月の所定労働時間」の式に当てはめると・・・
1時間の価値=1,704.5円となります。
給料30万円。所定労働時間が7時間で土日お休みの場合
- 所定労働時間が7時間
- 土日がお休み
- 残業代以外の給与が30万円
で計算をします。
この場合1ヶ月の所定労働時間は154時間ぐらいですね。
「1時間の価値=残業代以外の給与÷1ヶ月の所定労働時間」の式に当てはめると・・・
1時間の価値=1,948.0円となります。
給料30万円。所定労働時間が8時間で第2第4土曜日が出勤の場合
- 所定労働時間が8時間
- 日曜日がお休み
- 第2第4土曜日は出勤
- 残業代以外の給与が30万円
で計算をします。
この場合1ヶ月の所定労働時間は196時間ぐらいですね。
「1時間の価値=残業代以外の給与÷1ヶ月の所定労働時間」の式に当てはめると・・・
1時間の価値=1,530.6円となります。
給料25万円。所定労働時間が7時間で土日お休みの場合
- 所定労働時間が7時間
- 土日がお休み
- 残業代以外の給与が25万円
で計算をします。
この場合1ヶ月の所定労働時間は154時間ぐらいですね。
「1時間の価値=残業代以外の給与÷1ヶ月の所定労働時間」の式に当てはめると・・・
1時間の価値=1,623.3円となります。
まとめ|1時間の価値=残業代以外の給与÷1ヶ月の所定労働時間
4パターンの例で1時間の価値を計算してみました。一旦ここでまとめてみますね。
例 | 給料 | 所定労働時間 | お休み | 1時間の価値 |
---|---|---|---|---|
1 | 30万円 | 8時間 | 土日休み | 1,704.5円 |
2 | 30万円 | 7時間 | 土日休み | 1,948.0円 |
3 | 30万円 | 8時間 | 第2第4土曜出勤 | 1,530.6円 |
4 | 25万円 | 7時間 | 土日休み | 1,623.3円 |
注目したいのは例3、4の1時間の価値です。
貰っている給料自体は例3の方が高いんですが、1時間の価値は例4の方が高くなるんですね。
サービス残業でどのくらい1時間の価値が下がるか
次は残念なお話をします。
仮にあなたの会社で、いわゆるサービス残業が横行していたとします。
毎日2時間サービス残業をしていたとしましょう。この場合どのくらい1時間の価値が下がるのかを計算してみます。
サービス残業2時間以外の条件は、以下の通りとします。
- 所定労働時間が8時間
- 土日がお休み
- 残業代以外の給与は30万円
サービス残業をした場合の、1時間の価値は以下のようになります。
「1時間の価値=残業代以外の給与÷(1ヶ月の所定労働時間+1ヶ月のサービス残業時間)」
まず1ヶ月のサービス残業時間を計算します。毎日2時間サービス残業をしたとすると、1ヶ月で44時間くらい無償の奉仕をしている計算になりますね。
上で紹介した式に当てはめると・・・
1時間の価値=1,363.6円となります。
サービス残業をしなかった場合の1時間の価値が1,704.5円でしたので、350円ほど下がるわけですね。
※厳密に言うと残業代は割増が付くので、もう少し下がります。
もっと残念な話をします。あなたの会社がまったく残業代を払わない会社だとします。
仮に毎月80時間くらいサービス残業をしているとしましょう。
すると1時間の価値は1,171.8円です。サービス残業をしなかった場合との差額は約530円です。
割合で言うと3割ほど下がっています。
まとめ|あなたの1時間の価値の計算方法
- 1時間の価値=残業代以外の給与÷1ヶ月の所定労働時間
- 所定労働時間=会社によってあらかじめ決められている、仕事をする時間
- 給料が高くても、1時間の価値は低い場合もある
- サービス残業をすると1時間の価値が下がる
実際に例を使って計算してみると、1時間の価値の違いがどのくらいになるのかわかりますね。
給料の高さと1時間の価値の高さが逆転してしまう例もありました。
あなたが転職先を調べているとき、貰える給料の金額だけを見て「給料が上がる!」と思わないように気を付けてください。
所定労働時間や土日のお休み具合によっては、あなたの1時間の価値が下がっていることもあります。
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