退職後の状況別|健康保険や国民年金のやることのまとめ
お疲れ様です。SEから労務のプロ(社会保険労務事務所職員)へ転職したベンゾー(@zangyoujigoku)です。
この記事では「退職をした後にやらなければならないこと」について解説します。
初めて退職をするときって色々不安なことがありますよね。例えば転職先のことだったり、今後の収入のこと。
もちろんその辺も大切ですが、忘れてはいけないのが「保険」のことです。
「保険」といっても生命保険や自動車保険のことではなく、健康保険や厚生年金といった公的なものです。
これらは会社勤めの間は会社がかけてくれているものです。毎月の給料から天引きされていますよね。
当然これらは退職と同時に喪失(いわゆる解約みたいなものです)することになります。
もちろんそのままではダメです。なにかしら行政との手続きが必要になります。
この記事ではそんなややこしい「保険」のことについて、労働問題の専門家として解説をしていきます。
退職後の心配事を少しでも無くして、転職活動にたくさん時間を使うようにしましょう。
保険の他、退職後に必要な手続きと、退職後のトラブルの対処法について「退職後の保険手続き・トラブル対処法を徹底解説|気持ちよく次へ進む方法」でまとめています。
初めて退職する方や、ブラック企業から退職する方は是非ご覧ください。
退職の翌日には就職予定の場合
退職の翌日には次の就職先にいるような場合の話です。
在職中に転職活動を終わらせて、次の職場への入社日をうまく調整できた場合の例ですね。
例えば4月15日に退職し、4月16日には就職しているような場合の話です。
健康保険|そのままでOK
この場合、自分で行う健康保険の手続きはいりません。新しく就職した会社側の手続きだけで大丈夫です。
ただ、間違ってほしくないのは、以前の保険証は使えないということです。
以前の勤務先から貰っている保険証は、退職時に会社に返却をする必要があります。おそらく会社の総務部門の方などに最終出勤日に持ってきてもらうように言われることと思います。
そして新しい就職先で健康保険の加入手続きをしてもらいます。手続き後にすぐ発行されるわけではなく、だいたい1週間から2週間はかかると思ってください。
年金|そのままでOK
この場合、健康保険と同様で自分で行う手続きはいりません。会社側の手続きだけで大丈夫です。
健康保険と違って、特に注意しておきたいこともありません。
退職から就職までに空白期間ができる場合
退職から就職までに数日。あるいは数か月の空白期間ができる場合の話です。
在職中に転職活動が終わらず、退職後も求職活動を行う場合。あるいは次の職場の入社日の調整がうまくいかなかった場合の例です。
例えば4月15日に退職し、4月20日や5月1日、6月1日などに就職するような場合の話です。
脱サラして独立するような人もここに該当します。
健康保険|国民健康保険か任意継続
健康保険には以下の2つの選択肢があります。
- 国民健康保険に加入する
- 任意継続という制度を利用する
国民健康保険は市区町村で加入できる健康保険です。
保険料は前年の世帯収入(つまり家族全員の収入)によって決まります。また、子供や配偶者(夫や妻)を扶養に入れるという概念が無いことが特徴です。
つまり夫と妻と子供2人がいる4人家族の場合、4人全員が国民健康保険に加入し、4人全員に保険料がかかることになります。
世帯全体で見ると、家族が多いほど保険料が増えてしまうというわけですね。
任意継続とは今まで加入していた健康保険に引き続き加入し続けるという制度です。
つまり、前職で入っていた健康保険にそのまま入り続けることになります。
国民健康保険と違って、任意継続では家族を扶養に入れるという概念があります。
つまり先ほどの例で書いたような4人家族の場合、夫が任意継続をしていれば妻も子供2人も保険料がかからなくなります。(今まで入っていた健康保険によりますが)
ただし任意継続は今まで会社が払ってくれていた保険料も自己負担になるという特徴があります。
簡単に言うと、会社勤めをしていた頃に給料から天引きされていた健康保険料が2倍になるということです。
国民健康保険と任意継続の話をしました。
結局どちらに入る方が良いかと聞かれると、「保険料が安い方が得」という答えになります。
国民健康保険は市区町村によって微妙に金額が変わってきます。任意継続は退職した会社で加入していた健康保険によって変わってきます。
どちらが安いかはそれぞれ確認をした方が良いです。
国民健康保険であれば、お住まいの市区町村に聞けば教えてくれます。
任意継続であれば会社が加入していた保険協会(保険組合)に聞けば教えてくれます。保険協会(保険組合)の名前は保険証に書かれています。わからなければ会社の総務課に聞いてみましょう。
ここでの話をまとめると以下の通りです。
- 国民健康保険か任意継続制度を利用するという選択肢
- どっちが得なのかは世帯の収入や家族構成による
- 市区町村や保険協会(保険組合)に聞いて確認できる
年金|国民年金の手続きが必要
国民年金に加入する必要があります。
加入するにはお住まいの市区町村に行けば大丈夫です。その際、会社を退職していることを証明する必要があります。よく使うものとしては以下の2点があります。
- 離職票
- 資格喪失証明書
離職票というのは退職をした際に発行してもらえる書類です。ただし退職後すぐに発行はできず、一旦行政の手続きを経由するので手元に届くまでに早くても1週間~2週間はかかってしまいます。
資格喪失証明書というのも退職をした際に発行してもらえる書類です。離職票と違って行政の手続きを経由しないので退職後すぐに発行可能です。
ただしあらかじめ会社に言っておかないと発行してもらえないことが多いです。
この「離職票」か「資格喪失証明書」のどちらかを持って市区町村に行けば国民年金の加入手続きをしてもらえます。
誰かの扶養に入る場合
退職後誰かの扶養に入る場合の話です。
例えば結婚している人なら配偶者(夫か妻)の扶養に入るという選択肢があります。あるいは実家暮らしの人なら親の扶養に入るという選択肢もあります。
専業主婦になるという方なんかはここに該当します。
健康保険|健康保険の扶養手続きをしてもらう
健康保険は扶養してもらうという選択肢があります。
例えば結婚している人なら配偶者(夫か妻)の扶養に入るという選択肢があります。
あるいは実家暮らしの人なら親の扶養に入るという選択肢もあります。
退職をしたことで保険証が無い状態ですが、誰かの扶養に入ることで保険証を発行してもらえます。しかも多くの健康保険の場合は保険料がかかりません。
手続きは扶養に入れてくれる人の会社が行うことになります。
例えば夫の扶養に入るのであれば、夫の会社に手続きを行ってもらいます。具体的には夫から会社の総務課に連絡をしてもらえばOKです。
年金|配偶者の扶養かどうかで決まる
年金は誰の扶養に入るかで話が変わってきます。
- 配偶者(夫か妻)の扶養に入る場合
- 1以外の人の扶養に入る場合
この2パターンです。
配偶者(夫か妻)の扶養に入る場合は、健康保険と同様で配偶者(夫か妻)の会社が行うことになります。
保険料についても健康保険と同様で保険料がかかりません。
配偶者(夫か妻)以外の人の扶養に入る場合は、自分で国民健康保険の加入手続きをする必要があります。
加入するにはお住まいの市区町村に行けば大丈夫です。その際、会社を退職していることを証明する必要があります。よく使うものとしては以下の2点があります。
- 離職票
- 資格喪失証明書
離職票というのは退職をした際に発行してもらえる書類です。ただし退職後すぐに発行はできず、一旦行政の手続きを経由するので手元に届くまでに早くても1週間~2週間はかかってしまいます。
資格喪失証明書というのも退職をした際に発行してもらえる書類です。離職票と違って行政の手続きを経由しないので退職後すぐに発行可能です。
ただしあらかじめ会社に言っておかないと発行してもらえないことが多いです。
この「離職票」か「資格喪失証明書」のどちらかを持って市区町村に行けば国民年金の加入手続きをしてもらえます。
まとめ|健康保険や国民年金のやること
- 退職翌日には就職予定
健康保険:特に手続きなし
年金:特に手続きなし - 空白期間ができる予定
健康保険:国民健康保険か任意継続に加入
年金:国民年金に加入 - 誰かの扶養に入る予定
健康保険:扶養してくれる人の会社の健康保険に加入
年金:配偶者の扶養かそれ以外かで変わる
- 国民健康保険:
お住まいの市区町村で加入手続きができる。退職したことの証明として離職票か資格喪失証明書を持っていくこと - 任意継続:
退職した会社の健康保険に引き続き加入できる。健康保険料は在職時の2倍の金額になる - 扶養に入る:
扶養してくれる人の会社の保険に加入すること。保険料がかからない。
配偶者の扶養になる場合は年金も扶養に入ることができる。
なるべく噛み砕いてわかりにくい部分は省略して解説してみましたが、ちょっと難しい内容だったかもしれません。
退職した後の状況によって加入すべき保険や手続きが色々変わってきます。自分自身の状況と照らし合わせて見てみましょう。
保険の他、退職後に必要な手続きと、退職後のトラブルの対処法について「退職後の保険手続き・トラブル対処法を徹底解説|気持ちよく次へ進む方法」でまとめています。
初めて退職する方や、ブラック企業から退職する方は是非ご覧ください。