退職は何ヶ月前に言うべき?労働基準監督署と出した結論
お疲れ様です。労働問題の専門家をしているベンゾー(@zangyoujigoku)です。
今回は「これから退職をする」という方に向けて、「何ヶ月前に退職を言うのが良いのか」について解説をします。
この記事で伝えること
- どうしても今すぐ辞めたいなら「2週間前」
- 法的に妥当なところなら「1ヶ月前」
- 揉めたくないなら「就業規則の通り」
- これらの結論に達した理由
初めて退職する方の中には・・・
「退職したい」っていつまでに会社に言えばいいの?
という疑問を抱えている方も多いんじゃないでしょうか?
一方で民法には「解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」という記載もあるんだよ。
結局この辺りの妥当性は労働基準監督署、さらに揉めれば裁判官が判断することになります。難しい問題ですね。
つまり「退職は何ヶ月前に伝えるべきなの?」と聞かれると、正解は「ケースによる」としか言えないんですね。
ただ、今回は1つの結論を出すためにも労働基準監督署(以下、労基署)に相談をしてみました。
労基署と出した結論
- どうしても今すぐ辞めたいなら「2週間前」
- 法的に妥当なところなら「1ヶ月前」
- 揉めたくないなら「就業規則の通り」
「【自分で退職と退職代行を比較】20代で2度退職した結果を検証」では自分で退職した結果と、退職代行を使った結果を比較しています。
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労働基準監督署との相談内容
退職のことについて労基署に相談をしてみました。
長くなるので、先に要点だけまとめておきます。
労基署との相談内容
- 就業規則に記載されている期間と、民法が定めている期間が違う
⇒労基署としては労基法(就業規則)に従って欲しい - 必ず就業規則に従うべき?
⇒長すぎる期間は無効と判断できる - つまりどうなるの?
⇒会社が従業員を解雇するときの視点で考えると1ヶ月前が妥当
長くなりましたが、結論は「1ヶ月以上前が妥当」ということです。
以下では、労基署との相談結果をもとにして疑問の解消をしていきます。
参考条文
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用 Wikibooks-民法第627条第1項
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
引用 Wikibooks-労働基準法第20条第1項
労働基準監督署と出した結論
労基署との相談の要点をまとめると以下の通りです。
労基署との相談の要点
- 就業規則に記載されている期間と、民法が定めている期間が違う
⇒労基署としては労基法(就業規則)に従って欲しい - 必ず就業規則に従うべき?
⇒長すぎる期間は無効と判断できる - つまりどうなるの?
⇒会社が従業員を解雇するときの視点で考えると1ヶ月前が妥当
結論①|退職の1ヶ月以上前が妥当
結論を申し上げると「1ヶ月以上前」に伝えるのが、揉めないためにも妥当なラインです。
労基署いわく、会社側からの解雇が1ヶ月以上前に伝えることとなっているなら、従業員からの退職も同じくらいにするのが妥当とのことです。
もちろん会社側と揉めないためにという意味では、もっと前に伝えればなお良いです。
会社側の事情としては、あなたが今やっている仕事の引き継ぎであったり、人員配置の検討に時間が必要になります。
その辺りを考慮して退職時期を伝えてあげれば、会社との揉め事も少なくなります。
ただ、退職にはいろんな事情が付きものです。どうしても1ヶ月以内に退職したいこともありますよね。
そんなときには、その事情を伝えた上で相談をしてみてください。
結論②|就業規則に従う
就業規則には3ヶ月前と書いてあっても、労基署の判断では1ヶ月前が妥当とのことでした。
民法や会社側からの解雇の規定から考えると、長すぎる期間は就業規則として無効と判断するようです。
就業規則の内容が無効になる理由就業規則について、少し難しい話をします。
就業規則というのは、労基法などで定めていることを補足するような意味合いがあります。
例えば「休業(従業員が病気やケガで長期間休んだ場合の対処法)」について、労基法には特別な定めがありません。
だからこそ就業規則で何かしらの規則を設けておかないと、従業員が休業した場合に対処する方法が無くなってしまいます。
つまり、就業規則というのは法律で定めていないことを補足しているだけなんです。
何が言いたいかというと、法律を破るような就業規則は無効と扱われるということです。
就業規則に定めているからって、なんでもかんでもルールを作ることができるわけじゃないんですね。
結論③|民法的には2週間前でOK
民法第627条では契約の解約について、解約の申し入れから2週間で契約終了となるという旨の記載があります。
これをそのまま考えると、会社と従業員との契約も申し入れ(退職の意思を伝える)から2週間で契約終了と解釈できます。
ただ、労基署としては労働基準法を扱う行政だけに、民法の通りで大丈夫とは言いにくいようです。
どうしても今すぐ辞めたいのなら、最低でも2週間前に伝えるようにしましょう。
明日にでも辞めたい場合の力技※会社とは揉めます
色々書きましたが、最短でも2週間前には言わないといけません。
でもブラック企業で働いている人の中には、「2週間は長すぎる!」と言いたくなる方もいますよね。
そんな方には労働者に有利な法律をゴリ押しして、退職まで持っていく方法をお伝えします。
ただし、会社とはほぼ確実に揉めます。最悪、損害賠償の請求を受けることもあります。
と、脅かしましたが、実際のところ損害賠償を請求してくる会社はごく少数。
さらに言うと急に辞められたことでの損害なんて、1ヶ月の給料分もいかないでしょう。ぶっちゃけすぐに辞められるメリットの方が大きいです。
どうしても今すぐ辞めたい|有給休暇を使用
どうしても今すぐ辞めたい!会社と揉めてもかまわない!
と言う方には、明日から有給休暇を使って退職日まで持っていくという方法をお伝えします。
退職日を1か月先の日付にした退職届を提出します。そして、翌日からは有給休暇を使う旨も伝えます。
これで明日からは出勤をせずに、そのまま退職日まで行きます。実質、今日が退職日みたいなもんです。
本当にこんな強引なやり方ができるのでしょうか?
できます。
もちろん色々と注意事項はありますので、試してみたい方は「退職時に有給休暇を使い切る|実際に半月休んだ方法を解説」の記事もご覧ください。
この記事で伝えたいこと
- 退職前の有給休暇消化のやり方
- 強引に有給休暇を取りに行っても大丈夫な理由
- 有給休暇残日数の計算方法
自分でやるにはハードルが高い|退職代行を使うのも1つの手段
有給休暇を使った方法を紹介しました。
でも、退職届を出すだけの退職と違って自分でやるにはハードルが高い!と感じた方もいるんじゃないでしょうか?
そういう方のために、今は「退職代行」というサービスがあります。本当に便利な時代。
退職代行なら「退職時には有給休暇を使いたい」とリクエストするだけで、そのために必要な手順を踏んでくれます。
料金の相場は3万円と手頃な価格です。(僕が使ったところは3万円以下でした)
退職代行にはいくつか種類があるので、選ぶ際には注意してください。
最近は企業側も退職代行の扱いに慣れており、退職代行の種類によってはまったく効果が無いこともあります。
退職代行の選び方やオススメ退職代行については「30社から選んだオススメ退職代行業者2選|3つの選ぶ基準を解説」で詳しく解説をしています。
この記事で伝えたいこと
- 退職代行業者を選ぶための基準
- オススメの退職代行業者
まとめ|退職は何ヶ月前に切り出すべき?
- どうしても今すぐ辞めたいなら「2週間前」
- 法的に妥当なところなら「1ヶ月前」
- 揉めたくないなら「就業規則の通り」
- 明日にでも辞めたいのなら、有給休暇か退職代行
ちなみにこの話をもとにしたツイートがコチラです
何日前に退職を伝えるべきかをざっくり解説
・民法的には2週間前に伝えればOK
・就業規則に「半年前」とか書かれてても、民法優先
・一応間をとって1ヶ月前くらいが揉めないライン
・退職願じゃなくて退職届を出す就業規則が最優先じゃないところがポイントです
— ベンゾー@残業地獄の非常口 (@zangyoujigoku) 2019年5月18日
「【自分で退職と退職代行を比較】20代で2度退職した結果を検証」では自分で退職した結果と、退職代行を使った結果を比較しています。
- 新卒でブラック企業に入社した20代中盤のサラリーマン
- このまま居座るか退職するか迷ったけど、先日退職を決意