親族経営のブラック企業は辞めるべき?相談と回答を紹介します
お疲れ様です。TwitterとLINEで労働問題の相談対応をしているベンゾー(@zangyoujigoku)です。
今回は実際に僕に相談が来た話とその回答を紹介します。
ざっくり言うと、
- 自分の勤め先がブラックかどうかわからない
- ブラック企業を退職する際のアドバイス
の2点でした。
実際の相談内容は以下の通り
初めまして。ブログを拝見し、ご意見を頂きたくDM致しました。
現在、親族経営の企業で働いているのですが、おかしな点が多く退職しようと思っています。専門家のベンゾー様から見てこの企業がどう映るか教えていただきたいです。
人生でいくつもの会社を経験している人って少数派ですし、普通は自分の会社ぐらいしか知らないって人が多いですよね。
だから会社や上司から言われたことは、それが法律に反しているかどうかなんて気にしないで「そういうもんか」と思ってしまう方が多いと思います。
今回いただいた相談者さんもまさにそんな感じ。
自分の勤めている会社がブラックっぽいんだけど、はっきりとおかしいとは判断できないから退職しようか迷っているという感じでした。
この記事では
- 相談者さんの会社がなぜブラックと判断できたか
- どうやって退職するのが良いか
- 相談者さんが結局どうしたか
を解説していきます。
もし同じようにブラック企業に勤めているか迷っていたり、退職方法で困っている場合は、今回の方と同じように相談していただければ答えさせていただきます!
僕への相談方法については「仕事の悩み。無料相談を始めました!【LINE@・TwitterのDM】」の記事で紹介しています!
【相談1】色々おかしな点がある自分の会社はブラック企業?
【回答1】十分ブラック企業|メリットが無い限り辞めた方が良い
結論を言うと十分ブラック企業でしたので、よっぽどのメリットが無い限りは退職することをオススメしておきました。
体調を崩し始めているということもあるので、手遅れにならないと良いのですが。。。
有給休暇が自由に使えない
親族が自由に休んでいる件は場合によっては問題ないこともありますし、今回深くは伺いませんでした。
ただ、一般社員が有給休暇を自由に使えない件は明らかにおかしい点です。
有給休暇の制度については「有給休暇をわかりやすさ重視で解説|使わないなんてもったいない」でも解説をしています。
わかりやすさを重視して、最低限の内容に絞っています。
- 有給休暇は誰でも使えるの?
- いつ貰えるの?
- 使わないとどうなるの?
- 有給休暇を使うと給料は減らないの?
これらの質問に回答できない方は見ておくことをオススメします。
固定残業代があると聞いているが、金額がいくらなのか不明
固定残業代は就業規則や雇用契約書上で、何時間分でいくらを何という名目で支給するのかを明らかにする必要があります。
正しく運用できていない固定残業代は、未払い残業代として回収できる可能性もあります。
固定残業代の制度については「【固定残業代・みなし残業】計算例と仕組みを徹底解説」で詳しい解説をしています。
求人票上で良く見えるように使われることが多い固定残業代。しっかりと把握しておかないと、うっかりブラック企業に入社してしまうこともあり得ます。
知らずに転職活動をしている方は要注意です。
役員の公私混同が激しく、家庭の話を持ち出してくる
こちらは何かしらの法律違反があるというわけじゃありません。
でも役員の家庭の話を職場に持ち出してくるのは、あんまり良い気がしませんね。
就業時間前に清掃がある
ぶっちゃけ就業時間前に清掃する会社って結構あります。
でも、たかが数分でも就業時間前であれば残業となります。
強要されていたり、黙認されているようであれば未払い残業代として回収できる可能性がありますね。
パワハラが横行している
どこまでをパワハラって呼ぶかは人によると思いますが、相手が嫌がっていることをする人は信用できませんね。
どんなに仕事ができる人だったり偉い立場の人でも、嫌がることをするのは絶対にダメです。
そんな人がいて口出しできない状況にあるなら、長居しても良いことは無いと思われます。
労務的な指摘すると、態度が急変する。以前それで辞めさせられた人がいる
ブラック企業でワンマン経営をしている経営者だと、労務的な指摘をすると怒ることがあります。
きっと図星なんでしょうね。
【相談2】引き留めが凄いらしく、退職を言い出しにくい
【回答2】ブラック企業向けの3つの退職方法
退職の方法というと、「退職届を提出するだけ」というのが一般論です。
しかし相談にもあるように、ブラック企業の場合は引き留めが凄いという特徴があります。
また、そもそも退職を言い出しにくい雰囲気というのもあります。
そんなブラック企業に勤めている方向けに、3つの退職方法を紹介します。
ここでは簡単に解説しますが、詳しい内容は「劣悪な職場環境での退職の伝え方|1番大事なことは何?」でも紹介しています。
なおここでの内容は「ん~私もそろそろ転職しちゃおうかな☆テヘペロ!」みたいな人向けではありません。
この記事を読んで欲しいのは以下のような状態の人です。
この記事を読んで欲しい人
- 「もうマジで限界」
- 「これ以上働いたら死んでしまう」
- 「辛い辛い辛い辛い辛い辛い」
①言い出しにくいけど頑張って言う
さすがに労働問題の専門家としてこれを伝えないわけにはいかないですからね。
ただ相談者さんはかなり疲弊している状態なので、あんまりオススメはしません。
②退職届を社長に郵送
退職届は受け取り拒否ができる類の書類ではありません。
したがって、無理矢理にでも受け取らせれば退職は成立します。
ただし、手渡しをしても「受け取っていない」と言われる可能性があります。
そこで郵便を使います。ただの郵便ではなくちゃんと届けたことを郵便局が証明してくれるものが良いです。
オススメはレターパックプラスというものです。
③退職代行を利用
費用が3~5万円かかる上に業者に頼るという背徳感もありますが、どうしても辞められずに困っているくらいなら退職代行でサクッと辞めてしまう方が良いです。
僕自身も退職代行を使ったことがありますが、かなり気持ちが楽になります。退職ができなくて本当に困っている方にはオススメです。
退職代行のことは、「退職代行SARABAが絶対に最強な理由を労働問題専門家が徹底解説」をご覧ください。
【補足1】未払い残業代を回収する3つの方法
固定残業代や就業時間前の清掃など、未払い残業代を回収できそうな話がありました。
退職後に会社と戦うという意味で、未払い残業代の回収方法も補足しています。
僕自身、過去に2回未払い残業代の回収をしています。
具体的なやり方は「未払い残業代の請求方法|労働基準監督署を使って回収するやり方」で紹介しています。
もし残業代を払ってもらっていない可能性があるなら、是非ご覧ください。
①労働基準監督署へ申告
労働基準監督署を使って未払い残業代を回収するには以下のステップがあります。
- 証拠を準備する
- 労働基準監督署に電話
- 労働基準監督署に訪問
- 自分自身で会社に請求する
- 期日に払われなければ、再度労働基準監督署に連絡
具体的な方法は「未払い残業代の請求方法|労働基準監督署を使って回収するやり方」で紹介しています。
もし残業代を払ってもらっていない可能性があるなら、是非ご覧ください。
②残業代の回収に協力してくれる退職代行に依頼
労働基準監督署は平日の日中しかやっていないので、現在働いているという方の場合はなかなか対応が難しいです。
注意したいのは退職代行の種類によっては、まともに未払い残業代の回収ができないケースがあるということ。
オススメなのは労働組合の退職代行です。
労働組合なので法的に交渉することが可能な上に、弁護士よりもコストがかかりません。
退職をするついでに未払い残業代の回収もしたい方にはオススメです。
なお、僕自身が利用した労働組合の退職代行は「退職代行SARABA」です。
実際に使ったときのことは「退職代行SARABAが絶対に最強な理由を労働問題専門家が徹底解説」で解説しているので、気になる方はご覧ください。
③労働問題を扱っている弁護士に相談
なんらかの理由で退職はしないけれど、未払い残業代の回収だけをしたいという場合は、弁護士に相談することをオススメします。
退職代行ではないので、退職が前提にありません。望むなら在職したまま未払い残業代の回収をすることも可能です。
弁護士に依頼をするなら、職場や自宅から近い事務所がオススメです。通いやすい事務所に依頼をすれば、それだけ話も進みやすいですからね。
未払い残業代の請求は時効が2年と決まっています。(そろそろ3年にするという話も出ていますが)
職場や自宅から近く、労働問題を扱っている弁護士さんを探すなら「相談さぽーと」というサイトがオススメです。
全国のあらゆる法律の専門家を紹介するサービスとなっております。
相談さぽーとの使い方やサービス内容は「【パワハラ・セクハラ・サービス残業】弁護士を無料で紹介する「相談さぽーと」のサービスを解説」で解説しています。
【補足2】パワハラに対する損害賠償|弁護士に依頼
コスパ的にはあまりオススメしませんでしたが、パワハラの被害に対する損害賠償の請求も可能です。
ただし、ちゃんと請求を通すためには証拠を集めたり、裁判をしたりと労力がかかってしまいます。
弁護士を探す際は未払い残業代と同様で「相談さぽーと」というサイトがオススメです。
全国のあらゆる法律の専門家を紹介するサービスとなっております。
相談さぽーとの使い方やサービス内容は「【パワハラ・セクハラ・サービス残業】弁護士を無料で紹介する「相談さぽーと」のサービスを解説」で解説しています。
相談者さんの出した結論|辞めるけど平和的に退職したい
相談者さんとしては退職届の郵送や、退職代行の利用ではなく、平和的に退職したい気持ちがあるようです。
その上で引き留めに合ってもスムーズに退職をする方法となると、正直難しいところでしたがアドバイスをさせていただきました。
POINT
- 退職はしたい
- でも退職届の郵送や、退職代行の利用はしたくない
- 引き留めの強い会社だけどスムーズに退職したい
退職後の予定を伝える
すでに転職先が決まっていたり、退職後にやりたいことを決めている場合、それを話すことで諦めてくれる会社もあります。
しかし、今回の相談者さんは残念ながら決まっていないようでした。
精神的にも肉体的にもかなり参ってるようなので、無理もありません。
退職理由に嘘はつかない
最終的には、
- 体調を整えたいこと
- 今後は別の職種でがんばりたいこと
を理由にすることとなりました。
ん~ちょっと退職の理由としては弱い気もしますが、嘘をつかない方が良いので、この辺がベターな気もします。
最後に
おそらく退職のことを伝えると「そんなに上手く行かない」「ここ以外じゃ通用しない」と言ったお決まりの文句で引き留めがあると思いますが、ここで折れずに貫き通すことが大事です。
最後だと思って頑張ってください。
と、アドバイスさせていただきました。
【その後】うまく退職できたそうです!
数日後、相談者さんから再び連絡がありました。
うまく退職できたようで良かったです!
下手に嘘を付かずに、以下のことを伝えたことが上手く行った要因になったとのこと。
- 体調を整えたいこと
- 今後は別の職種でがんばりたいこと
今後は失業保険(基本手当)の手続きと、アルバイトとしての求職活動を併用しつつ、体調を整えることに集中するみたいです。
まとめ|親族経営のブラック企業は辞めるべき?相談と回答を紹介します
この記事で伝えたい結論
- 十分ブラック企業だったので退職を推奨
- 引き留めが強いブラック企業向けの退職方法を解説
- 未払い残業代の回収方法を解説
- パワハラの損害賠償は弁護士に依頼
- 平和的に辞めたいなら、退職後の予定を伝える
今回の相談者さんは自分の勤め先がブラック企業かどうかの判断と、退職方法についての相談でした。
補足として未払い残業代の回収と、パワハラに対する対応も回答しています。
相談者さんは転職先を決めずに退職することとなりましたが、できれば転職先を決めてから退職した方が良いことは言うまでもありません。
転職先を探す際、今度はブラック企業に入らないように「ブラック企業の少ない転職サイト」の利用をオススメします。
「ブラック企業の少ない転職サイトランキング|実際の求人票を読み解いて作成」でランキング形式で紹介しているので、是非ご覧ください。