いつ言うべき?|退職を伝えるタイミング別のメリットデメリット
お疲れ様です。SEから労務のプロ(社会保険労務事務所職員)へ転職したベンゾー(@zangyoujigoku)です。
今回は会社に「辞めます」と伝えるタイミングを紹介します。
会社を辞めたいと思ったところで、それを伝えるタイミングって迷いませんか?
- 次の転職先を決めてから?
- 今の会社はブラックだから、今すぐ辞めるべき?
- 仕事がひと段落ついてから伝えるべき?
「どうせ辞めるなら、今すぐ辞めた方が良い」という方もいれば、「今までお世話になったんだから、仕事がひと段落するまで待った方が良い」という方もいるでしょう。
色んな考え方がありますし、色んな正解もあります。
そこでこの記事では、転職経験があり、労務のプロとして働いている僕の目線から、
- 「転職先が決まったとき」に伝える
- 「辞めたいと思ったとき」に伝える
- 「仕事がひと段落したとき」に伝える
の3点についてメリット・デメリットをお伝えします。
この記事を見ていただければ、会社に退職の意思を伝えるタイミングで迷うことが無くなります。
「転職先が決まったとき」に伝えるメリット
引き留めされにくくなる
退職時にほぼ必ずあることとして「引き留め」があります。
「もう少し考えてみないか」とか「どこの会社も同じようなものだぞ」といったものもあれば、「〇月まで待ってほしい」といったものがよくある話です。
いずれにしても退職する時期を先延ばしにするか、退職自体をやめてもらえないか打診する内容ですね。
このとき、すでに転職先が決まっていることを伝えると会社側も諦めることが多いです。
退職する側としては早く話を進めて欲しいところ。転職先が決まっていることで引き留めされにくいということがメリットになりますね。
ちなみに僕は転職先を決めた上で退職を伝えたことと、決める前に伝えたことがあります。
転職先を決めずに退職を伝えた場合は半年後、転職先を決めてから退職を伝えた場合は1か月後に退職できています。
無職期間を無くせる
転職先に入社するタイミングと、現職を退職するタイミングを合わせることができれば、無職の時期を無くすことができます。
無職の期間があると、今後の履歴書上に空白期間ができてしまいますね。空白期間ができたら絶対にダメというわけじゃないですが、やはり気持ちの良いものではないです。
そういった意味で無職期間を無くすことができるということが、メリットになります。
無職期間ができることでの「法的な意味での注意点」は後述しておきます。
気持ちの余裕ができる
最後は精神的な問題。
何もしない時期、次が決まっていない時期というのが長く続くと、不安な気持ちになりますよね。
そういうとき転職活動を行っても、焦って変な会社に入社してしまったり、面接で失敗をする可能性が出てきます。
僕も早く転職先を決めたいがために、大して調べもせずに面接に行ったりしたことがあります。
やはり気持ちに余裕を持った状態で退職することができるということは、大きなメリットですね。
ただ、この場合は在職中に転職活動を行うことになるため、時間的な余裕が足りなくなります。時間が無い中で求人雑誌を眺めたりしていてもなかなか捗りません。
こんなときは転職サイトや転職エージェントを活用すると、時間的な余裕もできてきます。
転職サイトや転職エージェントの中には、希望の職種や勤務地を登録しておくことで、良い感じの求人を紹介してくれるサービスがあります。
ひとつひとつ自分で求人を探してくるより、ある程度希望に合っている求人をまとめてもらって、その中から吟味する方が時間効率が良いです。
「転職先が決まったとき」に伝えるデメリット
退社時期と入社時期の調整が必要
在職中に転職先が決まった場合、現職の退職時期と転職先への入社時期の調整をする必要があります。
例えば転職先からは4月1日に入社して欲しいと言われたにも関わらず、現職からは4月末まで引き継ぎをして欲しいと言われたとします。
この場合、どちらかの会社かあるいは両方に対して日程の調整をする必要がありますよね。
ところが両者とも色んな事情があってこの時期を指定しているため、なかなか調整が難しいこととなります。
最悪、転職を諦めなければならないということもあり得ます。
そうならないためにも、転職先となる会社に対し、どのくらいの時期に入社して欲しいのかを先に確認をしておくと良いですね。
転職先の会社も、「来月から入社してくれ」とか無茶なことは言わないはずです。
※あんまり無茶なことを言う会社は、入社してからも無茶を言うかも
そして転職先が希望する入社日を聞いたら、なるべく早く現職には退職の意思を伝えるようにしましょう。
有給消化ができないことも
退職時によくある「有給消化」ができないケースがあります。
次の転職先が決まっていることから、退職日もそれに合わせる必要がありますね。現職の会社によっては引き継ぎに膨大な時間がかかることもあり得ます。
その場合、引き継ぎがすべて終わったころにはすでに退職日。なんてことも起こり得ます。そうなってしまうと、有給消化をすることができなくなってしまいます。
僕は初めて転職したときに、退職日の設定を誤ったので有給休暇を30日ほど未消化にしてしまったんですよね。
それもあって、2回目の転職時は有休休暇を全部消化してから退職しました。半月くらいお休みすることになって、長期で家族旅行に行ったり普段できないようなことをしていました。
ちなみに有休消化ができないときは、会社との合意さえとれれば「有休買取」ということも可能です。
ただ、会社側が有休買取を受ける法的な義務はないので、あくまでお願いするといった程度にとどまります。
会社から断られてしまったら諦めるしかないですね。
「辞めたいと思ったとき」に伝えるメリット
辞めたい職場にいる時間を減らせる
今すぐにでも会社を辞めたいときは、少しでも職場にいる時間を減らせるというメリットがあります。
今すぐにでも会社を辞めたいというのは、経験的な意味や金銭的な意味、健康的な意味などがあります。
例えば銀行員が大工になるような転職であれば、前職の経験は恐らく役に立たないので早く新しい職場で経験を積みたいですよね。
あるいは給料が低かったり残業代が出ないような会社なら、長く働くだけ損をします。
長時間労働でうつ病にさせられそうな会社なら、今すぐにでも辞めるべきです。
これらのケースなら辞めたいと思ったときに、なるべく早く退職を伝えるべきですね。
決意が鈍らない内に行動できる
辞めたいと思ったときに退職を伝えれば、決意が鈍らない内に行動できるというメリットがありますね。
退職を考えている人に話を聞いてみると、1年以上考え続けてるなんて人も結構います。
言おう言おうと考えている内に時間が経っていき、その内辞めることをやめてしまうなんてことも良く聞きます。
辞めたいと思ったときに伝えられるほどの行動力があれば、決意が鈍ることもないですね。
「辞めたいと思ったとき」に伝えるデメリット
無職期間ができるかもしれない
転職先が決まっていない状態で退職になった場合、当然無職になってしまいます。
無職になることで色んなデメリットがありますが、その間に集中して転職活動をしたり、資格の取得に励むこともできます。
無職期間ができた場合に注意しいことは後述します。
引き留めされやすい
退職時に次のことが何も決まっていないと、会社からの引き留めで決心が揺らぐ人も多いです。
会社からしても「次が決まってないのに辞めるなんて無謀だ」と、引き留める口実ができます。
在留することで条件が良くなり結果オーライとなることもありますが、モヤモヤした気持ちのまま働くことにもなりかねません。
「仕事がひと段落したとき」に伝えるメリット
引き継ぎが楽
仕事がひと段落した状態であれば、引き継ぎをすることが少なくなります。結果的に引き継ぎをする相手にとっても自分自身にとっても楽であるなら、良いタイミングですね。
普段から仕事の共有ができている組織なら引き継ぎは簡単ですが、そうでない場合は思った以上に引き継ぎに時間がかかります。
僕は退職者の仕事を大量に引き継いだことがありますが、膨大な仕事量+退職後に聞くことができないというプレッシャーが辛かったです。
ちょっとでも引き継ぎが楽な時期に辞められればいいですね。
気持ち的に楽
言い方が悪いですが、仕事を途中で投げ出すように退職するのは、気持ちの良いことではないですよね。
もちろん途中で投げ出してでも辞めるべき会社はありますが、後味が悪いことに変わりはありません。できることなら仕事がひと段落した状態で、気持ちよく退職できると良いですね。
ただ、繰り返しますが途中で投げ出してでも辞めるべき会社はありますので、お間違えないように。
「仕事がひと段落したとき」に伝えるデメリット
ずるずると先延ばしになりがち
仕事が忙しい方の中には、「ひと段落する」なんてことが無い方もいるでしょう。そんな方が「ひと段落してから退職を伝える」なんて思っていては、いつまで経っても退職を伝えることができません。
「今年こそ転職する!」と決めていてもいつの間にか1年2年と経っていき、結婚や出産といったプライベートのイベントも重なっていく内に転職する機会を失うことになります。
その内周りから「あいつはいつも辞める辞める言ってるな」と思われ始めます。
どうしても仕事がひと段落してから退職を言い出したい場合は、「仕事全部がひと段落したら」と考えるのではなく「この仕事が終わったら」というようにひと段落させるべき仕事を決めておきましょう。
他の仕事に関してはひと段落していなくても、とりあえず退職を伝えてみるべきです。
そのくらいしないと、いつまで経っても退職できません。
辞めたい仕事をする期間が長くなる
仕事がキツイ割には給料が安かったり、残業がたくさんあるのに残業代が出なかったりという会社は山ほどあります。
そんな会社で働くのは1日でも短くなった方が良いです。
「仕事がひと段落したら」なんてノンビリしていないで、さっさと次の職場を探した方が時間的にも金銭的にも有意義です。
退職時に注意したいこと
無職期間ができた場合の法的な注意事項|失業保険と健康保険
次の転職先を決めていないけれども会社を辞めた場合、心配するべきことが2つあります。
1つはお金のことです。
会社を辞めているため当然給料がありません。しかし生活をするにはお金が必要です。
ここでひとつ知識を付けておきたいのが「失業保険」という制度。
失業保険というのはざっくりと言うと「働きたいけれど働けない状況の人に対し、国が金銭を補填する制度」です。
受給するには一定の条件がありますので、当てはまるかどうか確認をしておきましょう。
もう少し詳しく解説した記事を作りました。「失業保険|転職先を決める前に退職しちゃった人が読むべきお金の話」でご確認ください。
もう1つは健康保険のことです。
会社に勤めている人の多くは「保険証」を持っているかと思います。
この保険証があることで「「健康保険」という制度に加入しているぞ!」という証明になります。健康保険に加入していることで、病院にかかった場合の費用が3割負担となるわけですね。
会社を辞めた場合この保険証は無効になります。つまり退職日の翌日からは保険証を使うことができません。
そんな方が加入するのは「国民健康保険」という制度になります。
似たような名前ですが母体となっている組織が違っていて、制度の内容も少し変わってきます。
退職をして無職となる期間ができる予定の方は、「失業保険」と「健康保険と国民健康保険の違い」について最低限の知識を付けておきましょう。
属人化した組織|引き継ぎに時間がかかることも
「属人化」という言葉をご存知ですか?そのまんまですが、人に属しているという意味です。
会社において言うと、特定の人物にしかわからない仕事が存在していることを言います。
このような組織で働いている場合、引き継ぎに時間がかかることに注意しておきましょう。
会社という組織が上手く機能している場合、仕事内容が共有できており、従業員の誰かが休んだりしても仕事が滞ることなく進むようになっています。
ところが経営者や上席者が未熟な場合、仕事内容の共有ができていないことがあります。そんな場合だと、従業員の誰かが休むと仕事に滞りができてしまうわけですね。
このような滞りが発生してしまう組織を、「属人化した組織」と言います。
「属人化していない組織」の場合、仕事の引き継ぎは非常に楽です。極端な話、今朝発生した仕事だけ引き継げば大丈夫ということもあります。
対して「属人化した組織」の場合、仕事の引き継ぎに時間がかかります。退職をする人にしかわからない仕事が多すぎるため、引き継ぎに時間がかかってしまいます。
一般的に退職する旨を伝えてから実際に退職をするまでには、1ヶ月と言われています。
※法律的には本当は2週間あればOKですが。
「属人化していない組織」であれば、1ヶ月もあれば十分引き継ぎ可能です。しかし「属人化した組織」の場合、3ヶ月や半年あっても引き継ぎが十分にできない可能性があります。
したがって引き継ぎに思ったより時間がかかってしまい、結果的に退職時期がずれてしまったなんてことがあります。
転職先への入社見込み時期は、現職での退職時期を考慮した上で決めることになります。できれば転職先に迷惑のかからないようにしておきたいところですね。
「退職願」じゃなくて「退職届」を出す
退職の意思を伝えるとき、「退職願」あるいは「退職届」を上司に提出することになります。
このとき、何か特別な事情が無い限りは「退職届」を出すようにしましょう。
似たような名前ですが、意味合いが違ってきます。
「退職願」の場合は会社側に受理するかどうかを決める権限があります。
しかし「退職届」の場合、会社側は受理するしかないんです。
円満退職の場合はまったく問題ありませんが、揉めて退職をする場合だとこの違いが大違いになってきます。
どんな違いが出てくるかはややこしくなるので省略しますが、自分の中で退職の意思が固いのであれば「退職届」で問題ありません。
まだ退職届を準備していない方は「退職届の書き方|テンプレートをダウンロードしてサクッと済まそう」をご覧ください。退職届のひな形をダウンロードできるようにしてあります。
まとめ|退職を伝えるタイミング別のメリットデメリット
- 「転職先が決まったとき」に伝える
- 「辞めたいと思ったとき」に伝える
- 「仕事がひと段落したとき」に伝える
という3点のメリットデメリットについてお伝えしました。
それぞれメリットデメリットがありますが、ざっくりまとめるとこんな感じです。
「転職先が決まったとき」
- 計画的に有給を使いきれる。もしくは有給を諦められる
- 転職先への入社時期に融通が利く
- なるべく安全な転職をしたい
「辞めたいと思ったとき」
- 現職がブラックすぎてヤバい
- 優柔不断な性格で退職のタイミングを逃しそう
- 多少リスクを負ってでも転職したい
「仕事がひと段落したとき」
- 退職を先延ばしにしない自信がある
- 現職も良いけど、転職もしてみたい
- 現職の人間関係も大切にしたい
自分の性格や現在の職場・転職先の職場など色々な事情があるので一概には言えません。
ただひとつ言えるのは、もしあなたがブラック企業で働いていて、身体や家庭を壊されそうになっているのなら今すぐ辞めてください。壊れてからでは遅いんです。
ブラック企業を辞めるときのポイントは「【ブラック企業を辞めたい方へ】仕事を辞めても良い理由と退職方法」で解説しています。有給消化のやり方や退職届の出し方をまとめていますので、一度ご覧になってください。
「何もわからない方向け|失敗しない転職活動のやり方を9個のステップで解説」にて僕自身がSEから労働問題の専門家に転職した方法を紹介しています。
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