転職のメリット・デメリット|経験者+労務のプロの実話
お疲れ様です。SEから労務のプロ(社会保険労務事務所職員)へ転職したベンゾー(@zangyoujigoku)です。
今回は「転職のメリットとデメリット」を転職経験者+労務のプロとしての目線から紹介します。
- 今の会社はもう嫌だ
- でも転職をして失敗したらどうしよう
って思っている方。転職をすると元の会社に戻ることができないので、どうしても慎重になっちゃいますよね。
「本当に自分は今転職をするべきなのか」と考えだすと、なかなか結論が出ずにズルズルと先延ばしに・・・
転職をするべきかどうかの結論を早く出すためにも、あらかじめ転職のメリットとデメリットがわかっている必要がありますね。
今回は異業種への転職と同業種への転職を1回ずつ経験しており、労務のプロとして働いている僕が、転職をすることのメリットとデメリットを紹介します。
精神論のようなメリット・デメリットだけでなく、労働に関する法律の話も交えてまとめてみました。
この記事を読めば自分が今転職をするべきかどうかを判断することができるようになります。
転職のメリット|経験談
辞めるときに有休消化ができる|有休買取も
退職時には有休消化をしていく方が多いですね。在職中に使いきれなかった有給休暇を退職前に使い切るということです。
最近は有給休暇について法律も厳しくなってきており、あんまり溜め込むことがなくなりました。それでも長年勤めていれば数十日溜まることもあります。
次の勤め先の入社日との兼ね合いや、現職の引き継ぎの関係もあるので、全部の有給休暇を使い終わることができないこともあります。ただ、上手く調整できれば社会人になってからはなかなかあり得ない長期休暇となります。
僕自身、退職時に約1ヶ月の休暇がありました。日頃なかなかできない旅行や、家族サービス、趣味なんかを満喫できる良い機会となります。
また、どうしても有給休暇を使えない場合には、「有休買取」ということもできます。
本来、有給休暇の買い取りは禁止されているんですが、退職時に限っては認められています。
事前に会社と相談をしておけば、退職金に上乗せするような形で買い取ってくれることもありますので、お願いしておくのも良いですね。
ただ、あんまり強引に行くと揉め事になりますので、慎重にいきましょう。
経験値が超増える|強くてニューゲーム状態
個人的にはこれが転職の1番のメリットだと思っています。
ざっくり言うと、前の職場と次の職場の「仕事のやり方」について良いとこ取りができるんですね。
例えば前の職場では「必ずエクセルの計算結果を電卓で確認しなければならない」とかってルールがあったとします。こんなやり方って効率良くないですよね。
だから次の職場ではやらないことにします。
逆に「お客さん対応でめちゃくちゃ褒められたノウハウ」なんかがあれば、次の職場でも続ければ良いですよね。
こんな感じで、前の職場の悪い風習は捨てて、素晴らしい風習だけを取り入れることができます。
その上で、新しい職場で良いと思ったルールやノウハウを取り入れることができれば、前の職場のノウハウ+今の職場のノウハウが蓄積されます。
RPGで例えるなら、強い呪文や特技を覚えた状態で最初からプレイできる、「強くてニューゲーム状態」です。
前職の経験を生かせる|意外な場面で活躍できる
「異業種に転職をすると、今までの経験を生かせられない」と言う方がいます。
が、そんなことはありません。
それは今までの経験を生かし切れていないだけで、本当は生かす場面が必ずあります。
たしかにまったく畑違いの職種になれば、今までの知識を披露する場面は少ないかもしれません。しかし仕事の進め方であったり、過去の成功体験や失敗体験を生かすことはできます。
例えばプログラマーの方が介護職員になったとすれば、今まで覚えたプログラム言語を生かす場面はほぼ無いかもしれません。
しかし、仕事を進めていく上での問題解決能力は、介護の現場の問題解決に役立てることができます。
あるいは職場の事務員さんがパソコン操作で困っていれば助けてあげることもできます。
これは介護職しかやってこなかった方にはできない仕事です。転職してきたからこそできる仕事です。
僕の場合だと、元SEとしてのパソコンスキルは当然生かせました。それ以外にも、たまたま知り得た業務知識を転職先で活用できたり、前職の取引先の方と転職先では別の形で仕事を一緒にすることがありました。
転職を経験した人の話を聞いていると、上のような話は決して珍しい話ではありません。「世間は狭い」と言うように、意外なところで前職の経験を生かすことができます。
人手不足のときは自分の価値が上がる|高待遇の会社に入るチャンス
人手不足のときって転職市場でどんなことが起こると思いますか?
実は人手不足と言われているときは、より高待遇の良い会社へ入るチャンスなんです。
なぜなら自分自身の価値が相対的に上がるからなんです。
順調に仕事を受注している会社からすれば、本来受注できた仕事を取りこぼすようなことはしたくありません。
そのために会社として生産量を上げる必要があり、そのために新たな人材を雇う必要があります。
人手不足のときの会社としては、今までなら雇わないような人材でも雇わざるを得ない状況になります。
つまり、相対的に自分の価値が上がるということです。
就職氷河期のときにならとても入社できなかった会社に、中途採用として入社できるチャンスというわけですね。
転職のデメリット|経験談
早すぎる転職を繰り返すと、スキルが育たない上に印象が悪い
僕は基本的に転職推奨派です。でも、たまにあまりにも短い期間で辞める方がいて、「それはちょっと・・・」って思うことがあります。
目安として、次の転職先が異業種なら5年。同業種へ行くなら3年は在籍していた方が良いです。
数字の根拠は「100人に1人の人材」になるのに必要な期間が5年だからです。
転職先が同業種であれば、次の職場でも経験を積めると想定して3年としています。
この辺の詳細は「SEから異業種への転職がオススメな4つの理由|実体験+α」で紹介していますので、ご覧になってください。
話を戻します。
あまりに短い期間というのは1年前後での退職のことです。
さすがにどれだけ要領の良い人でも、1年前後では得られるものが少ないです。
それに転職するときに印象が悪いです。面接時に挽回できるのであれば別に良いですが。
ただ例外的にいくら短くても辞めた方が良い会社というのもあります。それは「体調を崩すレベルで労働環境の悪い会社」です。
あまりに労働環境が悪いと「うつ病」になってしまう場合があります。「うつ病」になってしまうと、仕事だけでなくプライベートにも悪影響があります。
そんな場合はすぐにでも退職した方が良いです。
「うつ病」になってしまったときのリスクについては「仕事でうつ病になるくらいなら退職して!4つのリスクを解説」の記事でも紹介しています。
「うつ病」になりそうな会社に勤めている方は、一度ご覧ください。
前の職場と揉めることも
退職で揉めるという話は少なくなってきています。しかし揉めたという話もたまにあります。
ちょっと嫌な気分になって退職するという話はあっても、実害が出るほど揉めることは本当に稀です。
普通はせいぜい送別会をして貰えないって程度です。その程度の会社なんだなって思っていれば良いです。
ただ、酷い場合だと損害賠償を請求すると言ってくる会社もあります。しかしこんなのは相当稀なケースです。
基本的に同期入社はいない
新卒で入った会社だと、同期入社の人たちがいますよね。一緒に仕事をして、昼飯を食べたりしてると、かなり仲が良くなることもありますね。
ですが、中途採用の場合は基本的に同期入社はいません。
社交性のある方なら特に心配する必要はありませんが、社員旅行や懇親会があったときに同期入社がいないと少し寂しい思いをすることになります。
ただ、会社によっては中途採用ばかりのところもあります。その場合は同期で仲良くするという風習が無いので、あんまり気にする必要がないですね。
ボーナスの金額が下がることも
多くの会社はボーナスの金額を判断するのに、勤続年数を考慮します。
そのため転職を繰り返していると、なかなかボーナスの金額が上がらないというデメリットがあります。
また、入社後半年や1年は寸志といって、少額のボーナスしか出ないところもあります。
そもそもボーナスが出ないような会社もあるので、そんな会社の場合は関係ないですが。
退職金が減る
ボーナスと同様に退職金でも勤続年数を考慮することになります。
また、ある程度の勤続年数が無いとそもそも退職金を貰えないという会社もあります。
退職金のことだけで考えるなら、大手企業に在籍している時期が長い方が退職金が多くなりがちです。
まあ転職をするのに退職金のことだけ考えるケースは無いと思いますが。
転職前後に育児休業給付金を貰えないケースが3つある
近々出産を控えている方は要注意です。
出産後、育児休業を取られる人が多いと思いますが、その際会社の給料の代わりに国から給付金が貰える制度があります。
「育児休業給付金」という制度なんですが、場合によっては貰えないことがあります。
実際にあったケースを3つご紹介します。
1つ目は「有期契約として雇用される予定で、転職後1年以内に育児休業を取る」という場合です。
「有期契約」というのはあらかじめ「〇月〇日まで雇う予定」という条件付きで雇われる契約のことです。派遣社員に多いパターンですね。
この場合、転職後すぐに育児休業を取ると給付金が貰えなくなります。
2つ目は「退職後に失業保険を受給し、その後に務めた会社ですぐに育児休業を取る」という場合です。
「失業保険」というのは退職してから次の就職が決まるまでの間、給料が無くなるので国から補填してもらう制度です。
この「失業保険」を貰って、その後に就職した会社で(正社員も含む)すぐに育児休業を取っても、給付金は貰えなくなります。
3つ目は「育児休業中に退職をする」という場合です。
本来は子供が1歳になるまで給付金を貰える制度なんですが、途中で退職してしまうとそこまでの分しか貰うことができません。
育児休業給付金は子供が1歳になるまでの1年間について、国からお金が貰える制度です。
金額は最初の半年が月給の67%。残りの半年が月給の50%となっており、決して少なくない金額です。
これが貰えないとなると家計に大ダメージなので、出産を控えている方は必ず注意してください。
まとめ|転職のメリット・デメリット
メリット
- 有休消化で長期のお休み
- 前職と現職の2つのやり方を経験できる
- 前職の経験が意外に生きる
- 相対的に自分の価値が上がる
デメリット
- 短い期間で転職を繰り返すと、スキルが育たない
- まれに前職と揉めることも
- 同期入社がいないので、ちょっと寂しい
- ボーナスが少なくなるかも
- 退職金が少なくなるかも
- 育児休業給付金が出ないケースがある
だいたいこの記事をご覧になっている方は「転職することに対して背中を押して欲しい方」なんだと思います。
だからこそ、転職のメリットばかりを語らずに、デメリットを多めにしてみました。
個人的には転職推奨派ですし、転職自体そんなにじっくり考えてやるべきではないと思っています。
ですが、だからといって手放しに転職を推奨していいわけじゃないので、ちゃんとデメリットを伝えさせていただきました。
この記事を参考に、転職で後悔をしないようにしてください。