残業170時間をしたSEが死にそうになって社会保険労務士事務所へ転職するまでの体験談
お疲れ様です。SEから労務のプロ(社会保険労務事務所職員)へ転職したベンゾー(@zangyoujigoku)です。
最初に言っておきますが、この記事は僕の日記のようなもので、何か便利なサービスや商品を紹介するようなものではないです。
ただただ、「僕はこんな人だよ」という自己紹介のような内容です。
そんなことよりもっと転職に役立つ話を聞かせろよ!って方は「何もわからない方向け|失敗しない転職活動のやり方を9個のステップで解説」をご覧ください。
この記事ではSEとしてMAXで170時間の残業をした僕が、
- 残業地獄で死にそうになった体験談
- 退職と転職決意したきっかけ
- どんな会社に転職できたのか
を紹介します。
ご存知の方も多いと思いますが、ブラック企業に殺されてしまう人は年々増えていっています。
下のグラフは厚生労働省が毎年出している「過労死等の労災補償状況」という統計の結果です。
<クリックで拡大>
引用元:厚生労働省.平成30年度「過労死等の労災補償状況」を公表します
実際に労災と認められた件数(グラフの黒色の部分)こそ横ばい状態ですが、請求があった件数(グラフの「薄い色の部分」)は年々上昇しているのがわかりますね。
僕自身は死にそうな目にあっただけで、運よく無事でした。
でもそんな「長時間労働で死にそうになった経験」から退職を会社に切り出すことができ、最終的には「残業の無い環境」へと転職をすることができました。
この記事を読んでくれている方の中にも、100時間を軽く超えるような残業をしている方がいるんじゃないでしょうか?
そんな「長時間労働に悩まされている方」や、「退職の決意ができずに悩んでいる方」に、是非読んでいただきたい体験談があります。
それは僕がMAX170時間の残業をして死にそうな目に合った体験談です。
僕自身がブラック企業を退職しようと思ったきっかけは以下の4点です。
- 上司の現状を見て、自分の将来が暗く見えたから
- 好きなことをする時間が奪われたから
- 高速道路で死にかけたから
- 残業時間を減らす要望を出しても結局戻ったから
ここに書いてあることは、実際に体験をすると精神的にも肉体的にもかなりキツイです。こんな目に合った場合は早急に退職を意識してください。
「なかなか退職を言い出すきっかけが無い!」「言い出せないままズルズルいってしまう!」という方は、「自分で決めた条件に当てはまることがあれば、すぐに退職をする」という考えを持ってください。
1番大事なことは「手遅れにならないこと」です。
そして「転職しても失敗しそうで怖い」という方にお伝えします。
SEから異業種(社会保険労務士事務所)へ転職した僕ですが・・・
- 他の業界はもっと残業が少ない
- 残業をしないことに重きを置いた転職なら、残業0も可能
- 異業種への転職は一旦給料が下がりがち
- でも再度転職すれば給料は戻る(もしくは上がる)
という経験もしています。だから安心して転職してください。
どう転んでも今の会社で死ぬまで働くより良い結果になります。
新卒入社から残業地獄が始まるまで
同僚はIT系出身が3割。文系もいた
入社してみて最初に驚いたことが、IT系の学科を卒業した人が少ないということ。
僕の同期だけで言うなら
- IT系の学科出身・・・3割
- その他理系の学科出身・・・5割
- 文系学科出身・・・2割
という割合です。理系どころか文系の人までいたんですね。
ただ実際に働いてみると、どんな学科を卒業してきたかなんて、ほとんど関係ないということに気が付きました。
社内の優秀な人だって文系出身だったり、そうでない人がIT系出身だったりすることが多々あったんですよね。
スタートダッシュ的な意味ではIT系だと良いかもしれませんが、IT系じゃないとダメというわけではないです。
もし、「元々文系だからSEが合わない・・・」と悩んでいる方がいたら、それだけを理由に退職や転職するのは待った方が良いですね。
配属先を聞いた先輩がドン引き|残業地獄の入り口
僕がいた会社では最初の2か月で新人研修を行い、その後実際に働く部署へ配属される仕組みになっていました。
配属先が決まった後に、トイレの中でたまたま一緒になった先輩との会話は今でも覚えています。
まだ何も知らない状態で、ただただ「Jグループがヤバい」ということだけを知りました。
当時、「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」という話がネットで話題になったこともあり、SEがヤバい職業というのは気付いていました。
でも日本人特有の危機感の無さから、「まさか自分に限ってそんなことは無いだろう」って思っていました。
後からわかったことですが、Jグループというのは社内でも残業時間がずば抜けたグループでした。
残業地獄の体験談
鬼軍曹の下で働く|1回教えたら完璧にできること
社内でも残業時間がずば抜けているというJグループへ配属が決まりました。
職場がブラックかどうかは、仕事内容や環境よりも上司で決まると言われています。
どんな過酷な会社でも一緒に働く上司が良い人なら、ホワイト企業と思われる。逆にも同様。という意味ですね。
その意味で行くと僕の上司は間違いなく「ブラック」です。会社も環境もブラック。上司もブラック。余白がありませんね。
僕の上司がどのくらいブラックだったのか。エピソードの前にまずは呼び名から紹介します。
「鬼軍曹」って呼ばれていました。
鬼でも軍曹でもなく、鬼軍曹です。「オニ・グンソク」という韓流スターみたいな呼び方をして、「グンちゃん」って呼んでる人もいました。
実際どのくらい鬼軍曹だったのかと言うと・・・
- 1回教えたことを完璧にできなかったらブチ切れ
- むしろ教えてなくてもブチ切れ
- 逃げ道が無くなるくらい言葉で追い詰める
- 怒ると声がめちゃくちゃデカくなる
- 声がデカすぎてケータイだと音割れして聞こえない
このくらい鬼軍曹でした。
しかもこの鬼軍曹さん、記憶力が異常にあるんです。自分が言ったことも相手が言ったことも全部覚えてるんです。
配属1週間目に教えてもらった内容を3年後に使うことがあったんですが、覚えていなかったということで怒られました。
もし、あなたの上司がこんな鬼軍曹だったら、今すぐ辞めることをオススメします。僕は精神が壊れませんでしたが、壊れていく人を何人も見てきました。
残業100時間を超える|働きアリと呼ばれる
Jグループに配属後、順調に残業時間が伸びていきました。
以下の同僚との会話は、月の残業時間が100時間を超えるようになった頃にしたものです。
言い返す言葉が出ませんでした。
後にこの同僚は僕以上の働きアリとなり、いつ家に帰り、いつ会社に来ているか不明なくらい会社にいるようになりました。
僕やK君のような働きアリになってしまうと抜け出すのが大変です。働きアリになる前に脱出することをオススメします。
残業が170時間を突破|1日に2日分働く
100時間を超える残業が多くなってきた頃、大型のプロジェクトが複数重なることがありました。
基本的に大型プロジェクトは重ならないような配慮があったのですが、何かの事情で重なってしまったんですね。
このときの残業時間は、過去最長の170時間となりました。
ちなみに僕は残業を減らす努力をしていた方なので、社内では残業の少ない方でした。少なくて170時間です。ヤバさがにじみ出てますね。
残業170時間というのがどういう状態だと思いますか?
一般的な会社員は1ヶ月で1日8時間労働を22日前後行います。
かけ算をすると1ヶ月で176時間前後働くことがわかりますね。
残業だけで170時間ということは、まさに1日で2日分ほど働いている計算になるわけですね。
こんな悲しい計算をすることになる前に、残業地獄で働いている人は脱出しましょうね。
深夜0時に客先から会社に戻り、3時まで働く
これは1度だけですが、深夜0時に客先から会社に戻り、その後3時頃まで働くということがありました。
遠方の客先での仕事が23時くらいに終わり、会社に戻ります。
普段ならその後は家に帰れるのですが、その日は別の客先でトラブルが起きており、その対応を深夜3時まで行いました。
もちろん翌日は普通に出勤します。
22時の帰宅|「今日は早かったね」と言われる
深夜0時を過ぎて家に帰るというのが日常でしたが、ごくごく稀に22時に家に帰ることがありました。
すると家族に「あれ?今日は早かったね?」と驚かれました。
「22時に帰宅」=「あれ?今日は早かったね?」
絶対におかしいですね。
過酷な労働環境にいると、働いている人の考えがおかしくなってくるという話があります。でも家族の考え方までおかしくなるとは思いませんでした。
もし、「22時に帰れたら早い」なんて思う方がいれば、今すぐその環境からは脱出するべきです。
残業地獄がもたらした体調の変化
100時間を超える残業が常態化していると、身体に色々な変化が出てきます。
僕が実際に体験した体調の変化は以下の3つです。
- 体重増加
- 逆流性食道炎
- 睡眠不足
食生活の乱れ|体重10キロ増
深夜0時過ぎに自宅へ帰るようになると、必然的に食生活が崩れて夕食が深夜1時頃になります。
健康のことを考えると夕食後3時間以内に寝ない方が良いと聞きますが、当然そんなことを言ってる余裕はありません。
深夜1時に食事をした後、30分ほど風呂に入りすぐ寝ます。それを毎日繰り返します。
するとあっという間に体重が増えていきました。
常識的に深夜の食事が太る原因になるのは言うまでもありませんね。
消化不良|逆流性食道炎
次に「逆流性食道炎」になりました。
これは消化不良なんかによって胃液がノドに逆流する症状です。ノドに焼けるような痛みと、口に広がる酸っぱい味が嫌になる症状でした。
食後すぐに寝ることで消化不良になっていたんでしょう。
そのことを考えると、食生活の乱れによる消化不良やストレス辺りが原因なんだろうなと思います。
睡眠不足|通勤中に寝る
最後に睡眠不足です。慢性的に睡眠不足となり、隙さえあれば寝るようになりました。
朝食も半分寝ながら食べていましたし、パソコンの処理待ち時間にも寝ていました。
中でもヤバいなと思ったのは、通勤中の車で信号待ちをしているときに寝るようになったことです。
信号が赤になるとほぼ確実に寝ていたぐらいです。
さらに会社に着いてからは、始業時間の5分前まで駐車場で寝るようになっていました。
とにかく何かの待ち時間には必ず寝ていました。
こんな寝てばかりいたら、いつか事故を起こすんじゃないかとヒヤヒヤしていました。
退職と転職を意識したきっかけ
部長が娘に避けられていた|未来が暗くなる
当時の会社には、希望者のみで休日に旅行を行く会がありました。僕が参加したときの目的地は、大阪にある某テーマパーク。
家族との参加OKなイベントでしたので、小さい子供を連れて参加している人も大勢いました。
部長も子供(小学校高学年くらいの娘2人)を連れて参加。
家族サービスもちゃんとするなんて、良い親なんだなぁと思っていました。
ですが、よくよく見てみると明らかに娘2人が部長を避けているんです。3メートルくらい離れて歩いていました。
そのときは年頃の娘さんだからかな?と思っていましたが、後々部長に聞いてみると・・・
- 家の中では部長がいない状態が当たり前
- たまに家にいると、日常と違うから違和感が出る
- 嫌われていないはずだけど、避けられている
- 家に居場所が無い
とのことでした。
この部長、社内では結構偉いポジションにいる人で、部下からも慕われている人ですよ。上で書いた鬼軍曹とは全然違うタイプ。
そんな部長でも家の中では酷い状態なんです。
当時僕には子供がいませんでしたが、いつか子供ができたら絶対に「子供の成長を近くで見る」という夢がありました。
この部長の状態は僕の夢とは真逆の状態。
このとき、
と思い、未来が暗くなりました。
好きなことができなくなる|退職を意識しだす
僕は懇親会や歓迎会と言ったいわゆる「飲み会」が好きで、誘われるとほぼ必ず出席しています。
当時の会社でも新人が入ったり、人が抜けたりするときには必ず歓送迎会が行われ、年末には忘年会がありました。
このイベントが結構好きで
ってぐらいでした。
そんな僕ですが、残業があまりにも多くなってきたころ、ついに「飲み会」に出席することすらできなくなった時期がありました。
飲み会関係で1番辛かったのは、自分が幹事をやっている飲み会に参加できないことです。
幹事として数週間前から準備をしているのに、自分は仕事があるから参加できないのが確定しているという状況。
「飲み会」の終わった4時間後くらいに残業が終わる日々。
何のために参加者の出席確認や、会場との打ち合わせをやっているのかわからなくなってきました。
「自分の好きなことができなくなる」というのは、想像以上に辛いことです。
もしあなたが、仕事のために好きなことをできない状態にあるなら、それは辞めることを視野に入れるべきです。
死にそうになってから退職するまで
高速道路で死にかける|退職を会社に切り出す
僕の仕事では、高速道路を使って遠方の客先へ行くことが多くありました。
客先でのトラブルを解決し、会社に戻ってくる。そんな仕事ですが、トラブルが上手く解決できないと帰りが遅くなることもあります。
その日は高速道路で片道3時間ほどかかる客先での仕事。上手くトラブルが解決できず、客先を出た時点で22時過ぎ。
連日深夜0時過ぎまで働いているため、運転中はめちゃくちゃ眠くなるのが当たり前になっていました。
それまでは大きな事故も起こさずに過ごしてきました。
でもその日は時速100キロほどで料金所に突っ込みそうになりました。
ギリギリのところで気が付いてブレーキが間に合いましたので無事でした。
上でも書きましたが僕の夢は「子供の成長を近くで見る」こと。
こんなところで死んでしまっては夢もクソもありません。会社には退職か最悪でも配置転換をお願いしました。
残業を60時間に減らしてもらう|退職を決意
高速道路で死にそうな経験をし、退職か配置転換を願い出ました。
会社からの返事は、退職はすぐには難しく、配置転換も別の部署の空きが出ないと難しい。要するにどちらもすぐにはできないとのこと。
だから代替案として残業時間を減らせるようにするとのこと。
最初の月は残業時間が30時間程度になりました。一気に3割ほど減ったわけですね!
次の月には50時間になりました。さらに次の月には60時間になりました。
元々残業時間が減る話をされたときに「元の残業時間に戻りそうなら退職します」と言ってありましたので、退職の決意が固まりました。
退職の決意がなかなか固まらない人は、退職をする条件を付けると良いです。
例えば・・・
- 残業時間が〇〇時間を越えたら
- 理不尽な理由で〇回怒られたら
- 転勤命令が出たら
といった感じですね。
退職の決意ができない方は「自分で決めた条件に当てはまることがあれば、すぐに退職をする」と決めておくと良いです。場合によっては条件を周りにも宣言しておくと良いですね。
新しい職場(社会保険労務士事務所)で気付いたこと
有名なブラック企業だと転職に有利
入社した後に教えてもらったんですが、採用するかどうかを決める会議にて
というのが採用の決め手になったみたいです。
ブラック企業で働くことにメリットは少ないですが、辞めたことで生かせるようになるメリットがありました。
ブラック企業を辞めて別の地域へ移る場合には使えませんが、同じ地域で働く場合には意外に有効に使える場合があるわけですね。
「パソコン使える」=「超使えるスキル」
僕の転職は「SEから社会保険労務士事務所への転職」ということで異業種への転職になります。
異業種へ転職した人の話で「エクセル使えると神様扱い」というのがあります。
僕自身、転職するまでは・・・
と思っていました。
しかし実際に自分が異業種へ転職してみると、エクセルぐらいで神様扱いでした笑
SUM以外の関数を使うだけでも神様ですし、コピペ以外のショートカットキーを使っても神様です。
まあ僕が入った会社はちょっとレベルが低すぎたのかもしれませんが、他の人に聞いてもだいたい似たようなことを言います。
神様扱いされるのが良いよって言ってるわけじゃありません。「自分のスキルを生かせる職場はたくさんあるんだよ」ってことを伝えたいんです。
「今の職場を辞めたら他に行く場所が無い」と考えている方。
絶対にそんなことは無いです。
あなたの経験やスキルが役に立つ職場はたくさんあります。
定時に帰っても仕事は終わるもの
新しく入った職場では定時に仕事が終わっていれば、当たり前のように定時に帰る人が多い職場でした。
だから自分の仕事が終われば、何の気兼ねも無く帰ることができます。
残業が当たり前だった頃は、定時に帰ると仕事が終わらないと思っていました。
ですが、定時までに仕事を終わらせる気持ちがあれば、大抵の場合は定時までに仕事が終わります。
一旦給料は落ちるけど再度転職すれば上がる
異業種への転職ということで、多くの場合は「未経験者可能」という職場に入ることになります。
「未経験者」でも雇ってもらえるのは、職場の人手が足りていない場合が多いです。
そんな会社では、満足のいく給料を払うことができないことが多いです。だから、異業種への転職では一旦給料が落ちることが多いです。
僕の場合は残業代を除くと月給が1万円ほど少なくなりました。
ただ、最初から長居をするつもりはなかったので、数年間働いて経験を積んでからは同業他社へ再度転職をしました。
新しい転職先では給料が5万ほど上がりました。もちろん残業の無い職場です。
異業種への転職をすると給料が落ちる可能性があります。ただ、それは一過性のものです。
ちゃんと経験やスキルを積めば、さらに次の転職時には給料を上げることもできます。
給料のことで転職をためらっている方がいれば、そんなに気にすることではないということを伝えたいです。
まとめ|死にそうになる前に転職すべき
- 鬼軍曹の下でMAX170時間の残業をする
- 明らかに体調が崩れ始める
- 部長が家族に避けられている様子を目撃
- 好きなことができなくなったら退職するべき
- ブラック企業で働いた経験が転職で有利になることも
- SEのスキルは異業種では神様扱い
- 異業種の転職は一旦給料が下がるけど、一過性のもの
この記事では僕自身が体験した残業地獄の話をしてみました。
僕は精神的に病むこともありませんでしたし、大怪我をすることもありませんでした。
でも同僚の中には、うつ病で休職を繰り返して身体を壊して辞めた人や、うつ病のせいで新婚なのに子供を作れなかった人など、精神を病んでしまった人が大勢います。
仕事のせいでうつ病になるくらいなら、今すぐ退職してください。
もしこの記事を読んで少しでも退職することを意識された場合は「【ブラック企業を辞めたい方へ】仕事を辞めても良い理由と退職方法」も是非ご覧になってください。
社会保険労務士事務所の職員であり、複数回の転職を経験した僕が、労働問題の専門家としての目線と転職経験者としての目線で「退職」についてまとめた記事です。
- うつ病になる前に退職するべき理由
- 今すぐ辞めるべき職場で考える1番大事なこと
- 退職を伝えるタイミング
- どうしても退職を伝えられない人のための奥の手
- 退職時に有給休暇を使う方法
- 無職になってしまってからの国の制度
についてまとめてあります。